2010年12月11日土曜日

Too Big To Fail

"Too Big To Fail"を読んだ。

リーマンショック前夜からTARPによる公的資金投入までの出来事を克明に記した本です。リーマンが破綻した夜、CEOのディック・ファルドと奥さんがベッドルームで交わした会話なんていうのまでカギカッコ付きで出てくるぐらいですから、「ホントかよ」と疑ってしまわなくもないですが、なんとかという立派な賞を受賞したベストセラーらしいです。著者はニューヨークタイムズの記者。

長い。500ページ超。アマゾンで買ったものだから、本の分厚さに気付かなかった。しかも、要は「わー、お金が借りられなくなた、どーしよー」と言いながら、みんなして金策に走り回るというパターンの繰り返しですから、途中でダレます。ただ、JPモルガンやゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、メリルリンチといった投資銀行の人たちの「あいつとは仕事したことあるよ」的な業界っぽい人間関係とか、バンクオブアメリカなどの商業銀行を一段下に観ているいやーな自尊心なんかが感じられて面白かったです。彼らにとって、英国のバークレーズなんかはwannabe(おっかけ)らしい。

そんな彼らが会社が傾いた中小企業のおじさんよろしく金策にバタバタするわけです。アメリカ国民が「ざまぁみやがれ」を思う気持ちも分かる。

で、最終的にはモルガンスタンレーまで危機に陥る。そこえ颯爽と救済の手を差し伸べるのが、我らが三菱UFJフィナンシャル・グループですよ。かっこいよね、三菱UFJ。モルガンスタンレーは本当に三菱UFJからの出資をありがたく思ってたらしく、出資が決まってからもモルガンの株価が下落を続けていたときは「やっぱり出資がとりやめになるんじゃないか」とドキドキしていたらしい。しかも、電子的にお金を振り込めない期間(休日が重なるとかそんな理由だった気が。。)にお金を引き渡さなければならなかったらしく、三菱UFJが小切手をきって、それをモルガン側に手渡しした。その小切手の額が90億ドル。三菱UFJのTakaaki NakajimaさんがモルガンのRob Kindlerさんに渡したんだって。その小切手の写真が本に載ってます。

あと、これだけ大活躍する三菱UFJにも関わらず、彼らのカギカッコはほぼゼロです。「謎の出資者」「天からの贈り物」みたいな雰囲気。なんだか悲しくもありますが、wannabeって言われるよりはマシかも。

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