2012年2月9日木曜日

So What's the Difference?


"So What's the Difference?" という本を読み終わりました。サブタイトルは、a look at 20 worldviews, faiths and religions and how they compare to Christianityとなっていまして、世界中の宗教や信仰を比較して、キリスト教とどこが違うかを比べてみようという本です。前に読んだ本で、スペインのピカレスクな考え方に関心したもんですから、世の中の他の文化について分かるんじゃないかと思って購入。ちょっと狙いからははずれた本でしたが、キリスト教信者の立場が分かって面白かったです。著者はFritz Ridenourという人。キリスト教の人です。

キリスト教と他の宗教の比較の前にカトリックとプロテスタント(Evangelical)とギリシャ正教(Eastern Orthodoxy)の比較から始まって、さらにはユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教、仏教との比較に進み、さらには「カルト」扱いで、エホバの証人、モルモン教、さまざまなニューエイジ信仰との比較に続きます。

面白いのは豆知識的な話です。モハメッドもブッダも孔子も死んだけど、キリスト教信者は「キリストは生きている」と信じているとか、「三位一体はキリスト教信者にとって最も理解と説明が難しいテーマだ。どうやったら神とキリストと精霊が、ひとつの神だと言えるのか?」とか。やっぱりキリスト教信者でも理解しがたいんだ。あと、キリストが十字架上で死ぬことによって人間の原罪は償われたということは、「スピード違反で捕まったけど、お金持ちの伯父さんが罰金を払ってくれたようなもの。人間の罪はキリストの死で償われたけど、人間が罪を犯したことには変わりがない」とかね。いろいろと大変だ。

あと、カトリックではキリストの弟子であるペテロの権威を重視して、その後継者であるローマ法王をありがたがるわけです。一方、プロテスタントはペテロ~ローマ法王のラインじゃなくて、キリストの言葉である聖書自体を重視する。あと、あと、プロテスタントは聖書に権威を求めるけれど、その解釈は結構自由だとか。

カルトについてもいろいろと面白い話があります。個別訪問とか人通りの多いところで「ものみの塔」とか配ったりしているエホバの証人は、1914年にアルマゲドンが起こると予言していて、それからもいろいろと予言を外しているなんていう話はカルトっぽい。著者がエホバの証人と並んで「最も成功したカルト」として位置づけるモルモン教も1890年までは一夫多妻制を認めていて、2代目教祖のブリガム・ヤングは20人の奥さんがいて、57人の子供がいた。カルトだぁー。

ただ、この著者はちょっとカルトに過敏なところがあって、ポケモンも「カルト的なおもちゃだ」とか言ったりする。ポケモンカードにかかれたモンスターを”召還”するところがカルト的だということらしいんですが、そりゃちょっと考えすぎです。あと進化論もビッグバンの前の世界について証明できているわけじゃないから、科学じゃなくて宗教。しかも神の存在を否定しているから、カルトだそうです。キリスト教以外はみんなカルト。


アメリカにはこんな人が沢山いて、それなりに影響力があるんでしょう。ややこしい国だな。