“UNINTIMIDATED: A GOVERNOR’S STORY AND A NATION’S CHALLENGE”を読みました。ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(共和党)が2011年に成立させた、公務員制度の大幅な改革などを盛り込んだ州法、Act 10の成立までの経緯と、その後の顛末をつづった本です。ウォーカーさんは13日に大統領選へ出馬を表明するとみられているので、ちょうど良いタイミングでの読了。これまであまりウォーカーさんのことは知らなかったのですが、なかなか魅力を感じさせる内容でした。
ウォーカーさんは1967年11月2日生まれの46歳。2010年11月の知事選で当選し、2011年1月に就任。いきなりAct 10の成立を目指します。Act 10では公務員の労働組合の団体交渉権を制限したり、医療保険や年金の負担率を現状よりも高くすることなどを定めています。自治体職員といえどもサラリーマンですから、民間の組合と同じように団体交渉権が認められて当然という気もしますから、Act 10の内容を発表すると、民主党や労働組合から轟轟たる批判が沸き上がりました。反対運動は次第にエスカレートしていき、数万人のデモ隊が州庁舎を取り囲んだり、中になだれ混んだり、はては議事堂を占拠してそのなかで生活を始めたりして、大変な混乱に陥りました。
これと並行して民主党議員はAct 10の成立を阻むためにそろってイリノイ州まで出て行って、予算がからむ法案としての定足数に到達できない状況を作って審議を拒否します。ウォーカーさんと共和党は民主党側に説得工作を展開し、妥協案を提示したりもしますが、民主党側は受け入れず。そこでウォーカーさんと共和党はAct 10を二つの法案に分割して、予算がからまない法案に仕立て直します。予算がからまない法案だと定足数が低くなるので、共和党単独でもAct 10を成立させることが可能。というわけで、Act 10は2011年3月に議会を通過し、ウォーカーさんが署名することになります。
でも民主党と労働組合はこの後も、「Act 10は無効だ」という訴訟を起こしたり、議員のリコール選挙をやったりした後、ウォーカー知事のリコール選挙にこぎつけます。ただ、こうした試みはいずれも失敗。この本は、こうした経緯のなかで、いかに民主党とか過激な労働組合が理屈にあわない滅茶苦茶な行動をとってきたかとか、いかにウォーカーさんや共和党が勇敢に立ち向かったかということが、何度も何度も語られます。
で、問題はどうしてウォーカーさんはそんなAct 10を実現したかったのかということですが、根っこのところにあるのは財政の健全化です。州政府の財政悪化を食い止めるためには、郡や学区に対する補助金を削減せねばならない。でもそんなことしたら、住民サービスの最前線に立っている郡や学区の運営がまわらなくなってしまう。だから行政を効率化させるための武器を郡や学区に与える必要がある。その武器というのがAct 10による公務員制度改革だという論法です。
で、なんで公務員制度を改革すれば行政が効率化できると考えたかというと、ウォーカーさん自身、2002年から2010年のミルウォーキー郡知事の時代に、いろいろと行政の効率化を目指そうとしたのですが、公務員組合の反対で満足のいく結果が得られなかったそうなんです。それで行政改革のためにはAct 10で公務員のリストラなんかを効率的に進められるようにするべきだというわけですね。
分かりやすい弊害として挙げられているのが、公立学校教職員の解雇の際に適用される”last in, first out”ルール。リストラをするときは一番キャリアが浅い職員から解雇するルールだそうで、財政難からリストラせねばならないときには、たとえ優秀であっても若い先生は真っ先に解雇されることになる。逆にやる気はないけど、年だけはとっている先生は地位が安泰なわけですね。こういうルールを変えようとしても、教職員組合との団体交渉で退けられてしまう。公立学校を効率化するには、団体交渉権をなくさなければならないという話になります。
あと、公営バスの運転手の年収が最高約16万ドルに達していて、交通局のトップよりも高かったなんていうケースも出てきます。労働組合が最も年功の高い運転手により多くの残業を認めるというルールがあるからだそうで、これもまぁフェアーな話じゃないよねという話ですね。さらに公務員は医療保険や年金の負担率が民間よりもかなり低くて、その分、自治体側の負担が大きいという問題もあった。
ちなみにAct 10反対派が州庁舎を占拠した際には、州都マディソンの教職員の40%が病欠をとって、多くの学校が休校に追い込まれたそうです。反対派のなかには医師がいて、州庁舎のなかで病気であることを証明する診断書を書いていたとのこと。こりゃいくらなんでも、ひどいっていう話ですが、そんなことがまかり通るような状態だったということです。
で、Act 10では公務員の労働組合の団体交渉権を制限して、リストラを能力ベースで行えるようにする。年功が高いからといって、残業を独占できるような制度も止めさせる。あと、医療保険や年金の負担率も引き上げる。ただ、それだと公務員の人たちは生活が苦しくなってしまうので、労働組合が組合費を強制的に徴収する制度も止めにする。そうすれば公務員は組合費を負担しなくても済むので、その分、医療保険や年金の負担増を受け入れられるという仕組みですね。そりゃ、労働組合は猛烈に反対するというわけです。
Act 10成立後、補助金を払わなくて済むようになった州政府の財政は黒字化し、資産税の減税なんかができるようになります。また、補助金を受け取る側の郡や学区でも効率化が進んで、かえって教職員の数を増やすことができるようになったりした。団体交渉権がなくなったことで、学区は自由に医療保険の契約先を選べるようになり、その結果、保険料が大幅に下がったことが大きな要因だったようです。2010年の時点で、ウィスコンシン州の労働者なかで「州が正しい方向に進んでいる」と回答したのは10%でしかなかったけど、2014年の時点では95%にまで増えたとのこと。いろんな要因があるんでしょうけど、95%というのはちょっとすごい数字です。
で、本の最後ではリーダーシップの重要性が語られます。過去2回の大統領選でオバマ大統領にやられてしまった保守層には「社会はリベラル化している。中間層を取り込むためには共和党はリベラル寄りにフトした方がいいんじゃないか」という悩みがありますが、ウォーカーさんは「中間層を取り込むためにリベラルにシフトするのは間違いだ」と断じています。ウォーカーさんは2012年のリコール選挙で勝利しましたが、同じ年の大統領選ではオバマ大統領がウィスコンシン州をとりました。有権者はウォーカーさんとオバマ大統領の両方を同時に支持したというわけです。
ウォーカーさんとオバマ大統領では政治理念は正反対なわけですが、「有権者は候補者が保守かリベラルかという問題よりも、指導力があるかどうかを見ている」とのこと。中間層を取り込むために必要なのは理念で妥協することではなく、大胆で前向きな改革を打ち出し、それをやり遂げる勇気をみせるかどうかだとしています。
共和党は「弱者に冷たい」というイメージをもたれてきましたが、ウォーカーさんは弱者に冷たいのではなくて、「政府に依存する人を減らしたい」だけだとしています。例えば、ウォーカーさんは健康で子供のいない大人のフードスタンプ受給には職業訓練を受けることを義務付けました。フードスタンプ受給の要件が厳しくなるわけですから、「弱者に冷たい」と批判されそうですが、その分、職業訓練のプログラムは充実させています。「働くためのスキルを磨かなくてもフードスタンプが受給できますよ。安心して下さいね」と呼びかけるよりは、「働くためのスキルを磨いて、フードスタンプに頼らなくても済むようになろう」と呼びかける方が前向きだというわけです。しかもこうした職業訓練プログラムで政府に依存する人が減っていけば、財政も安定する、減税もできる、国民が自由に使えるお金が増える。共和党はこうした自らの理念を曲げることなく、堂々と主張すれば、国民を引っ張っていくことができるというのがウォーカーさんの主張です。
ウォーカーさんについては「リコール選挙に勝った」「ティーパーティーの支持を受けている」「組合を攻撃した」「大学を中退している」というぐらいのイメージしかなかったのですが、こういう「改革志向」の人だったんですね。しかも実績があるわけですから、なかなか有権者にアピールしそうです。
2015年7月11日土曜日
2014年1月15日水曜日
Glenn Beck’s Common Sense
ラジオやテレビ番組の司会者で、ティーパーティー支持者から熱烈な支持を受ける(参照)ベストセラー作家でもあるグレン・ベッグが2009年に書いた本。米国は個人の自由を尊重した小さな政府であるべきだと主張する本です。タイトルは、米国独立戦争時に植民地を一方的に支配しようとする英国からの独立は「常識だ」と主張したトーマス・ペインの著書”Common Sense”にのっかっています。
ティーパーティー運動がリーマン・ショック後のオバマ政権による債務者救済策の表明をきっかけに火がついたことは知っていたのですが、それがどうして「妊娠中絶反対」とか「同性婚反対」といったキリスト教的な価値観と結びつくのがよく分からなかったので読んでみた。
で、この本のなかでは声高に「妊娠中絶反対!」とか「同性婚反対!」とか訴えているわけではなかったです。Abortionという言葉は2回、marriageという言葉は1回しか出てこない。ただ、割と最初の方から”Our Founding Fathers understood that our rights and liberties are gifts from God”なんていう言葉が繰り返し出てきます。要は、米国は神から与えられた個人の人権を大切にする国だという考え方ですね。で、政府であっても神から与えられた個人の人権を侵害してはいけないから、米国は小さな政府であるべきだっていうことだと思います。そう考えれば、妊娠中絶反対とか同性婚反対といった価値観とつながるのもうなずけます。「神はそんなこと許していない」っていうのが支持者の主張でしょう。
財政問題についても主張はシンプルです。世の中には良い借金もある。住宅ローンとか、みんな使っている。常識ですね。ただ、”what most people ignore is that debt works only in the context of an otherwise financially responsible lifestyle”というわけです。つまり謝金するんだったら、返済のために節度ある生活をせねばならないということ。これも常識。”the result of preventing failure in a country rooted in freedom is a country that is no longer rooted in logic”なんていう言葉も出てきて、「自分が失敗すれば自分の責任だ」っていう考え方にも肯定的なんだと思う。
そうなってくると、財政赤字が拡大するなかでさらに政府の規模を大きくしようなんていう考えや、サブプライムローンで借金を返せなくなった人たちを救済しようなんていう考えには納得できないことになる。Social Security is a great example of a “legal Ponzi scheme”. なんていう文章も出てきますし、その後にはメディケアも「コストなしでの国民皆保険」なんていうのも嘘っぱちだと位置づけられています。
グレン・ベックの批判の矛先は「大きな政府」を標榜する民主党だけでなく、財政赤字を拡大させてきたワシントン全体に向けられています。多くの議員がゲリマンダーで選挙区をガチガチに固めて再選を繰り返していることにも批判的で、「議員の任期を制限せよ」と主張したりもする。ワシントンの政治エリートの「個人の権利は政府の権力に従属するもので、公益よりも大切な個人の権利なんてない」という考え方を”Progressivism”と批判して、共産主義やファシズムや社会主義や帝国主義や国家主義と同じだとします。右のプログレッシビズムは米国の海外での軍事活動を拡大させ、左のプログレッシビズムは国連なんかの役割を拡大させる、という記述もある。もちろん、政府は銃を持っていいけど、個人は銃を持っちゃいけないなんていう考え方にも反対です。公的教育のなかで教師が子供たちの友達のように振る舞ったり、テストの点数よりも「みんな平等で仲良くしよう」なんていう考え方を教えたりすることにも否定的です。学校では建国以来の価値観である競争原理を教えなければ米国は弱くなってしまうという発想です。
とまぁ、ちょっと過激なところはあります。あと、ティーパーティーの人たちがよく批判されるように対案は示されていません。とにかく政府の拡大は問題なので国民は立ち上がるべきだというだけですね。
ただ、「あんまり政府をあてにするもんじゃないよ。自分のことは自分で守るのが常識だ」っていう感覚には納得できます。経済低迷で生活への不安が広がるなかで、増税や弱者救済のための負担増という考え方に反発する気持ちも分かる。さらに神を重視する人たちであれば、その他の社会問題にも過剰に反応したりするのでしょう。
なんとなくティーパーティーの気分が分かりました。要は不安なんだと思います。
ティーパーティー運動がリーマン・ショック後のオバマ政権による債務者救済策の表明をきっかけに火がついたことは知っていたのですが、それがどうして「妊娠中絶反対」とか「同性婚反対」といったキリスト教的な価値観と結びつくのがよく分からなかったので読んでみた。
で、この本のなかでは声高に「妊娠中絶反対!」とか「同性婚反対!」とか訴えているわけではなかったです。Abortionという言葉は2回、marriageという言葉は1回しか出てこない。ただ、割と最初の方から”Our Founding Fathers understood that our rights and liberties are gifts from God”なんていう言葉が繰り返し出てきます。要は、米国は神から与えられた個人の人権を大切にする国だという考え方ですね。で、政府であっても神から与えられた個人の人権を侵害してはいけないから、米国は小さな政府であるべきだっていうことだと思います。そう考えれば、妊娠中絶反対とか同性婚反対といった価値観とつながるのもうなずけます。「神はそんなこと許していない」っていうのが支持者の主張でしょう。
財政問題についても主張はシンプルです。世の中には良い借金もある。住宅ローンとか、みんな使っている。常識ですね。ただ、”what most people ignore is that debt works only in the context of an otherwise financially responsible lifestyle”というわけです。つまり謝金するんだったら、返済のために節度ある生活をせねばならないということ。これも常識。”the result of preventing failure in a country rooted in freedom is a country that is no longer rooted in logic”なんていう言葉も出てきて、「自分が失敗すれば自分の責任だ」っていう考え方にも肯定的なんだと思う。
そうなってくると、財政赤字が拡大するなかでさらに政府の規模を大きくしようなんていう考えや、サブプライムローンで借金を返せなくなった人たちを救済しようなんていう考えには納得できないことになる。Social Security is a great example of a “legal Ponzi scheme”. なんていう文章も出てきますし、その後にはメディケアも「コストなしでの国民皆保険」なんていうのも嘘っぱちだと位置づけられています。
グレン・ベックの批判の矛先は「大きな政府」を標榜する民主党だけでなく、財政赤字を拡大させてきたワシントン全体に向けられています。多くの議員がゲリマンダーで選挙区をガチガチに固めて再選を繰り返していることにも批判的で、「議員の任期を制限せよ」と主張したりもする。ワシントンの政治エリートの「個人の権利は政府の権力に従属するもので、公益よりも大切な個人の権利なんてない」という考え方を”Progressivism”と批判して、共産主義やファシズムや社会主義や帝国主義や国家主義と同じだとします。右のプログレッシビズムは米国の海外での軍事活動を拡大させ、左のプログレッシビズムは国連なんかの役割を拡大させる、という記述もある。もちろん、政府は銃を持っていいけど、個人は銃を持っちゃいけないなんていう考え方にも反対です。公的教育のなかで教師が子供たちの友達のように振る舞ったり、テストの点数よりも「みんな平等で仲良くしよう」なんていう考え方を教えたりすることにも否定的です。学校では建国以来の価値観である競争原理を教えなければ米国は弱くなってしまうという発想です。
とまぁ、ちょっと過激なところはあります。あと、ティーパーティーの人たちがよく批判されるように対案は示されていません。とにかく政府の拡大は問題なので国民は立ち上がるべきだというだけですね。
ただ、「あんまり政府をあてにするもんじゃないよ。自分のことは自分で守るのが常識だ」っていう感覚には納得できます。経済低迷で生活への不安が広がるなかで、増税や弱者救済のための負担増という考え方に反発する気持ちも分かる。さらに神を重視する人たちであれば、その他の社会問題にも過剰に反応したりするのでしょう。
なんとなくティーパーティーの気分が分かりました。要は不安なんだと思います。
2013年4月30日火曜日
歳出強制削減と2014年度予算
また古い話なんですが、オバマ大統領が2014年度の予算案を提出しました。で、これが例の歳出強制削減(Sequestration)とどんな関係になっているのか分からないので、調べてみた。
オバマ大統領が予算案を提出したのは4月10日。オバマ大統領は同じ日に2014年度予算にも歳出強制削減が適用されますよという文書を出している。(参照)
このなかで歳出強制削減の内容については行政管理予算局(OMB)が同じ日に出したレポートに基づいて行われますということになっている。そのレポートがこちらです。
で、このレポートの中の Table 1. "OVERVIEW OF CHANGES TO DISCRETIONARY SPENDING LIMITS AND THE PRESIDENT'S PROPOSED LIMITS IN THE 2014 BUDGET"(Discretionary budget authority in billions of dollars)というのが、歳出強制削減と予算案の関係を示しているんだと思います。
一番上のOriginal limits set in Title I of the Budget Control Act of 2011というところ。2014年は1,066 bnとなっている。で、2コ下のRedefinition of limits pursuant to section 251A of BBEDCAのところに、その1,066 bn をDefense(556 bn)とNon-Defense(510 bn)に分けた数字が出ている。これはBudget Control Act of 2011の251Aに出ている数字と同じです。(参照) つまり、2014年度の予算では、裁量的経費(Discretionary Spending)の上限は1兆660億ドルで、このうち国防費が5560億ドル、非国防費が5100億ドルということです。
4つ目のAdjustments pursuant to section 901(d) of the ATRAの項目の、2014年のところにあるDefenseで-4.0、Non-Defenseで-4.0とあるのは、今年1月のAmerican Taxpayer Relief Actにある、
(3) for fiscal year 2014—
(A) for the security category, $552,000,000,000 in
budget authority; and
(B) for the nonsecurity category, $506,000,000,000 in
budget authority;
という記述を反映したものだと思います。つまり、さきほどのDefense(556 bn)から4を引いたら552になるし、Non-Defense(510 bn)から4を引いたら506になります。
その次、Joint Select Committee on Deficit Reduction Enforcementの項目。実はこれについてはよく分からない。分からないんだけれど、Defenseで53.9 bn、Non-Defenseで37.2 bnだけ、予算の上限がカットされて、その結果がさらに1コ下のRevised Limits Included in the OMB Preview Reportの数字になっているんだと思う。つまりBCAで定められた裁量的経費の上限は国防費5560億ドル、非国防費5100億ドルだったけど、いろいろと見なおしが重ねられた結果、現状では国防費で4981億ドル、非国防費で4688億ドルになっている。
で、この上限に基づいてオバマ大統領が予算案を提案することになるわけですが、次の項目はPresident's Proposed Changes to Discretionary Limits in the 2014 Budgetとなっている。つまり2014年度予算については、この裁量的経費の上限について見なおしを提案しますよと。で、その下にごちゃごちゃと数字が出ている。特にOCO/GWOT(Oversea Contingency Operations/Global War On Terror)の項目では、Defenseに88.5 bnの積み増しをやっている。その結果、President's proposed limits in the 2014 Budgetの裁量的経費の内訳は、国防費で6405億ドル、非国防費で5146億ドルになっている。
なんでしょう。こんなにいきなり見なおしを提案されちゃぁ、歳出強制削減の意味がないような気がするんですが。違うんでしょうか。
で、オバマ大統領の予算案に関するデータはこちらにあるんですが、このうちの一番下のファイル(Summary Tables)の中にあるTable S–5. Proposed Budget by Categoryというのを見てみると、一番最後の項目にMemorandum, budget authority for appropriated programsというのがあって、そこに出ている数字が先ほどのレポートにある国防費6405億ドル、非国防費5146億ドルという数字と一致しています。つまり裁量的経費に関する予算の枠はこれだけですよ、ということなんだと思う。
でも、同じ表の一番上の項目をみると、裁量的経費のうち国防費は6180億ドル、非国防費は6240億ドルとなっている。非国防費が枠を超えちゃっているような気がするんですけど。
私が重大な勘違いをしているんでしょうか、それとも「どっちにしたって民主党と共和党が合意すりゃいいわけだから、とりあえずは枠なんて無視しちゃえばいいんじゃないの。結局、BCAの枠を超えて国防費も非国防費も出すんだから、合意しやすい内容でしょ」ってことなんでしょうか。
変なの。
オバマ大統領が予算案を提出したのは4月10日。オバマ大統領は同じ日に2014年度予算にも歳出強制削減が適用されますよという文書を出している。(参照)
このなかで歳出強制削減の内容については行政管理予算局(OMB)が同じ日に出したレポートに基づいて行われますということになっている。そのレポートがこちらです。
で、このレポートの中の Table 1. "OVERVIEW OF CHANGES TO DISCRETIONARY SPENDING LIMITS AND THE PRESIDENT'S PROPOSED LIMITS IN THE 2014 BUDGET"(Discretionary budget authority in billions of dollars)というのが、歳出強制削減と予算案の関係を示しているんだと思います。
一番上のOriginal limits set in Title I of the Budget Control Act of 2011というところ。2014年は1,066 bnとなっている。で、2コ下のRedefinition of limits pursuant to section 251A of BBEDCAのところに、その1,066 bn をDefense(556 bn)とNon-Defense(510 bn)に分けた数字が出ている。これはBudget Control Act of 2011の251Aに出ている数字と同じです。(参照) つまり、2014年度の予算では、裁量的経費(Discretionary Spending)の上限は1兆660億ドルで、このうち国防費が5560億ドル、非国防費が5100億ドルということです。
4つ目のAdjustments pursuant to section 901(d) of the ATRAの項目の、2014年のところにあるDefenseで-4.0、Non-Defenseで-4.0とあるのは、今年1月のAmerican Taxpayer Relief Actにある、
(3) for fiscal year 2014—
(A) for the security category, $552,000,000,000 in
budget authority; and
(B) for the nonsecurity category, $506,000,000,000 in
budget authority;
という記述を反映したものだと思います。つまり、さきほどのDefense(556 bn)から4を引いたら552になるし、Non-Defense(510 bn)から4を引いたら506になります。
その次、Joint Select Committee on Deficit Reduction Enforcementの項目。実はこれについてはよく分からない。分からないんだけれど、Defenseで53.9 bn、Non-Defenseで37.2 bnだけ、予算の上限がカットされて、その結果がさらに1コ下のRevised Limits Included in the OMB Preview Reportの数字になっているんだと思う。つまりBCAで定められた裁量的経費の上限は国防費5560億ドル、非国防費5100億ドルだったけど、いろいろと見なおしが重ねられた結果、現状では国防費で4981億ドル、非国防費で4688億ドルになっている。
で、この上限に基づいてオバマ大統領が予算案を提案することになるわけですが、次の項目はPresident's Proposed Changes to Discretionary Limits in the 2014 Budgetとなっている。つまり2014年度予算については、この裁量的経費の上限について見なおしを提案しますよと。で、その下にごちゃごちゃと数字が出ている。特にOCO/GWOT(Oversea Contingency Operations/Global War On Terror)の項目では、Defenseに88.5 bnの積み増しをやっている。その結果、President's proposed limits in the 2014 Budgetの裁量的経費の内訳は、国防費で6405億ドル、非国防費で5146億ドルになっている。
なんでしょう。こんなにいきなり見なおしを提案されちゃぁ、歳出強制削減の意味がないような気がするんですが。違うんでしょうか。
で、オバマ大統領の予算案に関するデータはこちらにあるんですが、このうちの一番下のファイル(Summary Tables)の中にあるTable S–5. Proposed Budget by Categoryというのを見てみると、一番最後の項目にMemorandum, budget authority for appropriated programsというのがあって、そこに出ている数字が先ほどのレポートにある国防費6405億ドル、非国防費5146億ドルという数字と一致しています。つまり裁量的経費に関する予算の枠はこれだけですよ、ということなんだと思う。
でも、同じ表の一番上の項目をみると、裁量的経費のうち国防費は6180億ドル、非国防費は6240億ドルとなっている。非国防費が枠を超えちゃっているような気がするんですけど。
私が重大な勘違いをしているんでしょうか、それとも「どっちにしたって民主党と共和党が合意すりゃいいわけだから、とりあえずは枠なんて無視しちゃえばいいんじゃないの。結局、BCAの枠を超えて国防費も非国防費も出すんだから、合意しやすい内容でしょ」ってことなんでしょうか。
変なの。
2013年1月15日火曜日
ジャック・ルーって誰?
2期目のオバマ政権の財務長官にジャック・ルー大統領首席補佐官が就くことになりました。おかしなサインをすることが話題になってますが(参照)、他のことも調べておいた。
この記事やウィキペディアやホワイトハウスのページによると、ニューヨーク出身のルーさんはミネソタ州のチャールトン大学在学中にニューヨーク州選出のベラ・アブザグ下院議員(民主党)のもとで1年間働いた後で大学をやめ、1974年からはマサチューセッツ州選出のジョー・モークリー下院議員(民主党)のもとで働き、さらに23歳のとき(1973年ごろ)、同じくマサチューセッツ州選出のティップ・オニール下院議長(民主党)の政策アドバイザーになります。その後、クリントン大統領時代の行政管理予算局(OMB)ディレクターとして財政均衡の実現に貢献。オバマ政権下では、クリントン国務長官の国務副長官をやり、2010年11月からは再びOMBのディレクターを勤め、さらに2012年1月から大統領首席補佐官をしています。
ちなみに最終学歴がチャールトン大学中退っていうわけではなく、その後、働きながらハーバードとジョージタウンで学位をとっているみたいです。あとシティグループなど民間で働いていたこともある。
つまりはバリバリの民主党員で、普通の家庭に対して政府が果たすべき役割を重視しているっていう人ですね。若いころには低所得者用住宅の建設や、国際的な飢餓問題のためのファンド設立に奔走したこともあるらしい。そのうえ数字に強く、タフなネゴシエイターでもある。敬虔なユダヤ教徒で金曜日は日が沈む前に仕事を切り上げてしまうそうです。あと、12弦ギターも弾く。ギター以外は見た目通りって感じ。
ただ、オニール下院議長の政策アドバイザーだった当時、グリーンスパン委員会との連絡役として、Social Securityの健全性を維持するために、支給年齢を65歳から67歳に引き上げるなどする法律の成立に貢献したそうです。民主党員の中にはこの法律を不本意に思う人もいたようですが、ルーさんはこの法律が議会を通過したときに使われた小槌をオフィスに飾っているらしい。あと、ルーさんはメディケアの支給年齢を65歳から67歳に引き上げることについても、賛成しているとの証言もある。バリバリの民主党員なんだけど、プラグマティストでもあるということです。
そんなルーさんの財務長官就任に対して、共和党の一部では反発があります。(参照) 理由は要するにルーさんが頑固な民主党員で、交渉で数字を並べ立てて煙に巻こうとするような奴だからっていうことみたいですけど、まぁ、気に入らないんでしょうね。
この記事やウィキペディアやホワイトハウスのページによると、ニューヨーク出身のルーさんはミネソタ州のチャールトン大学在学中にニューヨーク州選出のベラ・アブザグ下院議員(民主党)のもとで1年間働いた後で大学をやめ、1974年からはマサチューセッツ州選出のジョー・モークリー下院議員(民主党)のもとで働き、さらに23歳のとき(1973年ごろ)、同じくマサチューセッツ州選出のティップ・オニール下院議長(民主党)の政策アドバイザーになります。その後、クリントン大統領時代の行政管理予算局(OMB)ディレクターとして財政均衡の実現に貢献。オバマ政権下では、クリントン国務長官の国務副長官をやり、2010年11月からは再びOMBのディレクターを勤め、さらに2012年1月から大統領首席補佐官をしています。
ちなみに最終学歴がチャールトン大学中退っていうわけではなく、その後、働きながらハーバードとジョージタウンで学位をとっているみたいです。あとシティグループなど民間で働いていたこともある。
つまりはバリバリの民主党員で、普通の家庭に対して政府が果たすべき役割を重視しているっていう人ですね。若いころには低所得者用住宅の建設や、国際的な飢餓問題のためのファンド設立に奔走したこともあるらしい。そのうえ数字に強く、タフなネゴシエイターでもある。敬虔なユダヤ教徒で金曜日は日が沈む前に仕事を切り上げてしまうそうです。あと、12弦ギターも弾く。ギター以外は見た目通りって感じ。
ただ、オニール下院議長の政策アドバイザーだった当時、グリーンスパン委員会との連絡役として、Social Securityの健全性を維持するために、支給年齢を65歳から67歳に引き上げるなどする法律の成立に貢献したそうです。民主党員の中にはこの法律を不本意に思う人もいたようですが、ルーさんはこの法律が議会を通過したときに使われた小槌をオフィスに飾っているらしい。あと、ルーさんはメディケアの支給年齢を65歳から67歳に引き上げることについても、賛成しているとの証言もある。バリバリの民主党員なんだけど、プラグマティストでもあるということです。
そんなルーさんの財務長官就任に対して、共和党の一部では反発があります。(参照) 理由は要するにルーさんが頑固な民主党員で、交渉で数字を並べ立てて煙に巻こうとするような奴だからっていうことみたいですけど、まぁ、気に入らないんでしょうね。
2013年1月5日土曜日
fiscal cliff は決着+先送り
年末年始も米国議会の方々は一生懸命仕事をなさって、fiscal cliff(財政の崖)は一旦は回避されたということみたいです。ただ、歳出の一律削減については2カ月先送りということですし、債務上限の引き上げ問題もありますから、まだまだ議論せねばならないことは山積しているんだと思います。
で、1月1日、American Taxpayer Relief Act of 2012が上院、下院を通過して、2日のオバマ大統領の署名を経て成立しました。リンク先のサマリーによると、
Makes permanent the tax reduction provisions of the Economic Growth and Tax Relief Reconciliation Act of 2001 for individual taxpayers whose taxable income does not exceed $400,000 ($450,000 for married couples filing a joint return)
ということですから、個人で40万ドル未満、夫婦で45万ドル未満に対する減税は恒久化されるということですね。オバマ大統領は選挙戦中、Cut the deficit by $1.5 trillion over the next decade through tax reform, including the expiration of tax cuts for single taxpayers making over $200,000 and married couples making over $250,000.(参照)としてきましたから、個人、夫婦ともに20万ドルずつは譲歩したというかたちになります。
あと、相続税の最高税率は従来の35%から40%に引き上げ。相続税率は何もしなければ55%まで上がるはずだったので、民主、共和の双方が妥協したという感じですか。40万ドル以上の所得層に対するキャピタルゲイン税率は従来の15%から20%に引き上げ。
また、失業保険については、
Extends unemployment provisions, including: (1) emergency unemployment compensation payments for eligible individuals through January 1, 2014, and (2) requirements that federal payments to states cover 100% of such payments until December 31, 2013.
ということです。emergency unemployment compensation(EUC)っていうのは、通常の失業保険を26週間受け取った後でも仕事が見つからない場合に受けられる失業保険のことで、これをあと1年間延長する。(参照) で、そのための資金は連邦政府が面倒をみるということですね。
一方、歳出の一律削減については、
Amends the Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985 to reduce the required amount of deficit reduction calculated for FY2013 by $24 billion.
Postpones to March 1, 2013, the allocation by the Office of Management and Budget (OMB) and order by the President of total reductions to budget functions (half from the defense function). Implements the FY2013 sequester on March 27, 2013.
Reduces FY2013 discretionary spending limits to those applicable for FY2012. Reduces FY2014 limits from $1.066 trillion to $1.058 trillion.
つまり、
FY2013で削減するはずだった$24 billionについてはキャンセル。
一律削減の実施は3月27日まで延期。
FY2013の裁量的支出の上限はFY2012の水準まで引き下げ、FY2014については$1.058 trillionまで引き下げ。
ということですね。まぁ要は先送りです。
この法律については、ホワイトハウスによるサマリーもあります。
Social Securityの給付額決定にchained-CPIを使うかどうかという問題も先送りみたいですね。ティーパーティなんていう人たちがいる米国でさえ、歳出削減っていうのは政治的に難しいんでしょう。もちろん日本も社会保障制度の圧縮の議論は進んでいない。消費税増税の道筋は一応ついたのかもしれませんが。
で、1月1日、American Taxpayer Relief Act of 2012が上院、下院を通過して、2日のオバマ大統領の署名を経て成立しました。リンク先のサマリーによると、
Makes permanent the tax reduction provisions of the Economic Growth and Tax Relief Reconciliation Act of 2001 for individual taxpayers whose taxable income does not exceed $400,000 ($450,000 for married couples filing a joint return)
ということですから、個人で40万ドル未満、夫婦で45万ドル未満に対する減税は恒久化されるということですね。オバマ大統領は選挙戦中、Cut the deficit by $1.5 trillion over the next decade through tax reform, including the expiration of tax cuts for single taxpayers making over $200,000 and married couples making over $250,000.(参照)としてきましたから、個人、夫婦ともに20万ドルずつは譲歩したというかたちになります。
あと、相続税の最高税率は従来の35%から40%に引き上げ。相続税率は何もしなければ55%まで上がるはずだったので、民主、共和の双方が妥協したという感じですか。40万ドル以上の所得層に対するキャピタルゲイン税率は従来の15%から20%に引き上げ。
また、失業保険については、
Extends unemployment provisions, including: (1) emergency unemployment compensation payments for eligible individuals through January 1, 2014, and (2) requirements that federal payments to states cover 100% of such payments until December 31, 2013.
ということです。emergency unemployment compensation(EUC)っていうのは、通常の失業保険を26週間受け取った後でも仕事が見つからない場合に受けられる失業保険のことで、これをあと1年間延長する。(参照) で、そのための資金は連邦政府が面倒をみるということですね。
一方、歳出の一律削減については、
Amends the Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985 to reduce the required amount of deficit reduction calculated for FY2013 by $24 billion.
Postpones to March 1, 2013, the allocation by the Office of Management and Budget (OMB) and order by the President of total reductions to budget functions (half from the defense function). Implements the FY2013 sequester on March 27, 2013.
Reduces FY2013 discretionary spending limits to those applicable for FY2012. Reduces FY2014 limits from $1.066 trillion to $1.058 trillion.
つまり、
FY2013で削減するはずだった$24 billionについてはキャンセル。
一律削減の実施は3月27日まで延期。
FY2013の裁量的支出の上限はFY2012の水準まで引き下げ、FY2014については$1.058 trillionまで引き下げ。
ということですね。まぁ要は先送りです。
この法律については、ホワイトハウスによるサマリーもあります。
Social Securityの給付額決定にchained-CPIを使うかどうかという問題も先送りみたいですね。ティーパーティなんていう人たちがいる米国でさえ、歳出削減っていうのは政治的に難しいんでしょう。もちろん日本も社会保障制度の圧縮の議論は進んでいない。消費税増税の道筋は一応ついたのかもしれませんが。
2012年12月30日日曜日
fiscal cliff 協議は続く
28日(金)のfiscal cliff(財政の崖)に関する協議後、オバマ大統領が声明を出しています。民主・共和両党の協議は最後まで続くし、合意は可能だと強調する内容ですが、一方で、協議が合意に至らなかった場合、民主党のリードSenate Majority Leaderに対して、中間層に対する増税の回避、求職中の200万人に対する失業保険の延長、将来的な協調を目指した協議の継続を目的とした法案を提出するように求めるとも述べて、予防線を張っています。
I just had a good and constructive discussion here at the White House with Senate and House leadership about how to prevent this tax hike on the middle class, and I’m optimistic we may still be able to reach an agreement that can pass both houses in time. Senators Reid and McConnell are working on such an agreement as we speak.
But if an agreement isn’t reached in time between Senator Reid and Senator McConnell, then I will urge Senator Reid to bring to the floor a basic package for an up-or-down vote –- one that protects the middle class from an income tax hike, extends the vital lifeline of unemployment insurance to two million Americans looking for a job, and lays the groundwork for future cooperation on more economic growth and deficit reduction.
で、民主・共和の両党は引き続き協議をしております。ロイター通信によると、
・1月2日(水)に実施される1090億ドルの歳出一律削減を数カ月延長することやブッシュ減税の1年延期などが話し合われている。
・年収25万ドル以上の家族に対する増税の是非については意見の隔たりが大きい。
・オバマ大統領が求めている長期失業保険の延長についても合意には至っていない。
・相続税の減税打ち切りも決着していない。このままだと、1月1日(火)に税率が55%(現行35%)に上がり、控除額が100万ドル(現行500万ドル)に下がってしまう。
ということのようです。
なんか全然ダメっぽいんですけど、そうでもないんでしょうか。
I just had a good and constructive discussion here at the White House with Senate and House leadership about how to prevent this tax hike on the middle class, and I’m optimistic we may still be able to reach an agreement that can pass both houses in time. Senators Reid and McConnell are working on such an agreement as we speak.
But if an agreement isn’t reached in time between Senator Reid and Senator McConnell, then I will urge Senator Reid to bring to the floor a basic package for an up-or-down vote –- one that protects the middle class from an income tax hike, extends the vital lifeline of unemployment insurance to two million Americans looking for a job, and lays the groundwork for future cooperation on more economic growth and deficit reduction.
で、民主・共和の両党は引き続き協議をしております。ロイター通信によると、
・1月2日(水)に実施される1090億ドルの歳出一律削減を数カ月延長することやブッシュ減税の1年延期などが話し合われている。
・年収25万ドル以上の家族に対する増税の是非については意見の隔たりが大きい。
・オバマ大統領が求めている長期失業保険の延長についても合意には至っていない。
・相続税の減税打ち切りも決着していない。このままだと、1月1日(火)に税率が55%(現行35%)に上がり、控除額が100万ドル(現行500万ドル)に下がってしまう。
ということのようです。
なんか全然ダメっぽいんですけど、そうでもないんでしょうか。
2012年12月28日金曜日
fiscal cliff の協議が大詰め
いわゆる財政の崖(fiscal cliff)問題に関する協議が大詰めを迎えています。オバマ大統領はハワイでのクリスマス休暇を早めに切り上げて共和党側との協議に臨むようです。まぁ、そもそもクリスマス休暇をとっている場合かよ、っていう気はしますが、前回のエントリ以降の動きについてまとめておきます。
ちょっと前のCNNの報道によると、オバマ大統領は17日の月曜日に増税される家族の年収を40万ドル以上にしてもいいよという提案をしています。これまでは25万ドル以上としていたわけだから、増税の対象となる家族は減ることになって、共和党的には嬉しいでしょ? というわけです。
詳しい内容はWSJのこのページが、随時アップデートされるみたいなので、ここにコピペ。
Obama’s Latest Proposal
Revenue
$1.2 trillion to $1.3 trillion: New revenue raised over 10 years under Mr. Obama’s latest offer. Key features:
Raise tax rates on income above $400,000
Increase tax rate on capital gains and dividends to 20% from 15% for income over $250,000
Increase estate-tax rate to 45% from 35% (exempting first $3.5 million of assets per person, down from first $5.12 million)
Limit top value of some tax deductions
Permanently extend the alternative-minimum tax relief
Spending Cuts
$400 billion: Health-care spending cuts through changes to programs
$200 billion: Spending cuts to nonmandatory health
$200 billion: Discretionary spending cuts, including $100 billion from defense
$130 billion: Chained CPI savings
一番最後に出てくるchained CPIによる歳出削減というのもミソらしい。さきほどのCNNの記事などによると、Social Securityの受給額は物価に連動するようになっているのですが、chained-CPIを採用すれば、物価変動の幅が従来の方法よりも小さめに見積もられるようになる。chainde-CPIの場合、ある商品の物価が上がった場合、消費者はその商品ではなく、代わりのもっと安価な商品を買うようになることを考慮にいれるからだそうです。ということで、Social Securityの支給額も小さくなって、歳出削減の効果がある。これまた共和党にとっては嬉しいでしょ? というわけです。
これに対して、共和党のベイナー下院議長は18日の会見で、「オバマ大統領の提案は1.3兆ドルの税収増に対して、8500億ドルの歳出カットしか想定しておらず、バランスのとれたアプローチとはいえない」と批判。そのうえで、、「年収100万ドル以上に対する増税だったら認めてもいいよ」という提案を行います。いわゆる「プランB」とよばれるやつで、ベイナー下院議長は20日に下院で法案を投票にかけると宣言しました。
この記事によると、プランBはBudget Control Actに基づく歳出の一律削減や社会保障制度の改革には触れていない不完全なものなようですが、副大統領候補だったライアン下院議員や影響力のある反増税活動家のGrover Norquist氏らの支持を獲得。共和党的にはこのプランBを下院で通過させてしまえば、「次は歳出カットでオバマ大統領と民主党が妥協する番ですよ」と迫れるとの皮算用もあったようです。あと、歳出一律カットの問題については、「国防費のカットは一律じゃないよ」という別の法律を作って対処するという作戦もとった。でも結局は共和党内から十分な支持を得られず、ベイナー下院議長はプランBを投票にかけることを断念します。共和党内には「増税は絶対に嫌」という議員が多いうえに、早くからオバマ大統領や民主党がプランBへの反対を表明していたため、「上院を通るわけがない」という判断があったようです。ちなみに、国防費のカットは一律じゃないよ法案は投票にかけられて、215-219で可決されています。(参照)
このプランBの失敗を受け、オバマ大統領は21日の会見で、「あと残り10日しかない。98%の米国民に対する減税の継続に関しては誰も反対していないんだから、それをやらない理由はない」と強調してハワイへ出発。そのオバマ大統領が27日、ワシントンに帰ってきたというわけです。
CNNの記事によると、28日午後3時から、オバマ大統領、バイデン副大統領、ベイナー下院議長、ペロシHouse Minority Leader、リードSenato Majority Leader、マッコーネルSenato Minority Leaderによる協議が行われるそうです。
なんか共和党内にいる「増税絶対反対派」を納得させるために、一旦、財政の崖から落ちて税率を現状よりも上げたうえで、そこから税率をちょっと引き下げて「減税を実現したんだ」というロジックを展開するなんていう話もあるみたいです。めんどくさい話ですね。
写真はハワイから戻ってきたオバマ大統領。
ちょっと前のCNNの報道によると、オバマ大統領は17日の月曜日に増税される家族の年収を40万ドル以上にしてもいいよという提案をしています。これまでは25万ドル以上としていたわけだから、増税の対象となる家族は減ることになって、共和党的には嬉しいでしょ? というわけです。
詳しい内容はWSJのこのページが、随時アップデートされるみたいなので、ここにコピペ。
Obama’s Latest Proposal
Revenue
$1.2 trillion to $1.3 trillion: New revenue raised over 10 years under Mr. Obama’s latest offer. Key features:
Raise tax rates on income above $400,000
Increase tax rate on capital gains and dividends to 20% from 15% for income over $250,000
Increase estate-tax rate to 45% from 35% (exempting first $3.5 million of assets per person, down from first $5.12 million)
Limit top value of some tax deductions
Permanently extend the alternative-minimum tax relief
Spending Cuts
$400 billion: Health-care spending cuts through changes to programs
$200 billion: Spending cuts to nonmandatory health
$200 billion: Discretionary spending cuts, including $100 billion from defense
$130 billion: Chained CPI savings
一番最後に出てくるchained CPIによる歳出削減というのもミソらしい。さきほどのCNNの記事などによると、Social Securityの受給額は物価に連動するようになっているのですが、chained-CPIを採用すれば、物価変動の幅が従来の方法よりも小さめに見積もられるようになる。chainde-CPIの場合、ある商品の物価が上がった場合、消費者はその商品ではなく、代わりのもっと安価な商品を買うようになることを考慮にいれるからだそうです。ということで、Social Securityの支給額も小さくなって、歳出削減の効果がある。これまた共和党にとっては嬉しいでしょ? というわけです。
これに対して、共和党のベイナー下院議長は18日の会見で、「オバマ大統領の提案は1.3兆ドルの税収増に対して、8500億ドルの歳出カットしか想定しておらず、バランスのとれたアプローチとはいえない」と批判。そのうえで、、「年収100万ドル以上に対する増税だったら認めてもいいよ」という提案を行います。いわゆる「プランB」とよばれるやつで、ベイナー下院議長は20日に下院で法案を投票にかけると宣言しました。
この記事によると、プランBはBudget Control Actに基づく歳出の一律削減や社会保障制度の改革には触れていない不完全なものなようですが、副大統領候補だったライアン下院議員や影響力のある反増税活動家のGrover Norquist氏らの支持を獲得。共和党的にはこのプランBを下院で通過させてしまえば、「次は歳出カットでオバマ大統領と民主党が妥協する番ですよ」と迫れるとの皮算用もあったようです。あと、歳出一律カットの問題については、「国防費のカットは一律じゃないよ」という別の法律を作って対処するという作戦もとった。でも結局は共和党内から十分な支持を得られず、ベイナー下院議長はプランBを投票にかけることを断念します。共和党内には「増税は絶対に嫌」という議員が多いうえに、早くからオバマ大統領や民主党がプランBへの反対を表明していたため、「上院を通るわけがない」という判断があったようです。ちなみに、国防費のカットは一律じゃないよ法案は投票にかけられて、215-219で可決されています。(参照)
このプランBの失敗を受け、オバマ大統領は21日の会見で、「あと残り10日しかない。98%の米国民に対する減税の継続に関しては誰も反対していないんだから、それをやらない理由はない」と強調してハワイへ出発。そのオバマ大統領が27日、ワシントンに帰ってきたというわけです。
CNNの記事によると、28日午後3時から、オバマ大統領、バイデン副大統領、ベイナー下院議長、ペロシHouse Minority Leader、リードSenato Majority Leader、マッコーネルSenato Minority Leaderによる協議が行われるそうです。
なんか共和党内にいる「増税絶対反対派」を納得させるために、一旦、財政の崖から落ちて税率を現状よりも上げたうえで、そこから税率をちょっと引き下げて「減税を実現したんだ」というロジックを展開するなんていう話もあるみたいです。めんどくさい話ですね。
写真はハワイから戻ってきたオバマ大統領。
2012年12月10日月曜日
fiscal cliff はどうなった。
このところfiscal cliffのことを気にしていなかったので、どうなってんのか調べておいた。
オバマ大統領は11月29日にガイトナー財務長官を「特使」として共和党に提案を行っています。この内容は文書では公開されていないみたいですが、報道によると内容は以下のようなものらしい。【CNNの記事】【CNBCの記事】【WSJの記事】
・10年間で1兆6000億ドルの税収増。このうち9600億ドルは年収25万ドル以上の富裕層向けの税率引き上げ、キャピタルゲインや配当への課税の強化でまかなう。さらに今後の税制改正で6000億ドルを捻出する。相続税を2009年の水準まで引き上げることや、控除などの見直しを含む。
・Budget Control Actで定められた財政支出の一律カットの1年延期。
・景気刺激策、失業保険の拡充などで500億ドルの支出増。
・債務上限問題が2011年のような混乱を起こすことを避けるため、大統領が債務上限を引き上げる権限を握る。
・メディケアなどへの支出を4000億ドル減らす。詳細は来年協議する。
この提案を行ったうえで、ガイトナー財務長官は12月2日のCNNの番組"State of the Union"でも、「税率引き上げがない限り、fiscal cliff問題での合意はない」と宣言したりしています。(参照) 妥協する気は全くないぞという感じですね。
これに対して共和党は12月3日、文書でオバマ大統領に遺憾の意を表明。(参照) それによると、
・1兆6000億ドルなんていう額は、大統領選で主張していた額の2倍じゃないか。
・歳出カットの4倍もの税収増を見込んでおり、とてもじゃないけど、大統領自身が主張してきた「バランスのとれたアプローチ」とは言えない。
・大統領側は「1ドルの税収増に対して、2.5ドルの歳出カットを行っている」と説明しているが、それは過去の歳出カットも含めた計算じゃないか。
・債務上限を取り払うとはどういうことだ。
・こんな不真面目な提案を出してくるようでは、我々は下院を通過した"Budget Resolution"に基づいた対応をとるしかない。
などと主張しています。で、その対応の内容はというと、
・メディケアの抜本的な改革で、受給者に保証内容の選択肢を与えるようにする。貧しい人や病気の人にはサポートを厚くし、富裕層へのサポートは削る。現在の高齢者には影響が出ないようにする。これによってメディケアの支出は抑制されて、維持可能なものになる。
・メディケイドも改革して、州政府の裁量を大きくする。受給者の状況を改善しながら、10年間で8000億ドル近くを節約できる。
・Federal employee compensationやSupplemental Nutrition Assistance Programの改革で数千億ドルを節約する。
とのこと。
さらに具体的には、オバマ大統領が作った"National Commission on Fiscal Responsibility and Reform"のErskine Bowles共同議長が2011年11月1日に行った提案を例に挙げています。この提案は、税率アップではなく控除などの見直しにより8000億ドルの税収増を確保し、mandatory spendingで9000億ドル、discretionary spendingで3000億ドルの歳出カットを行うとしたもので、共和党側は「完璧な解決策ではないけど、公平な妥協点だ」としています。
これに対してオバマ大統領側からは歩み寄りの姿勢はないようで、共和党のベイナー下院議長は8日の会見で協議について「進展はない」と表明しています。 (参照) ただ、10日になってオバマ大統領とベイナー下院議長が話し合いの機会をもっています。詳細は明らかにされていませんが、“the lines of communication remain open”ということのようです。
で、今後の行方について、ワシントンポストの記事がややこしくて面白い。(参照) 簡単にまとめてみると。
・最高税率は35%~39.6%の間で落ち着く可能性がある。
・増税の対象を25万ドル以上ではなくて、37万5000ドルとか50万ドルとかにするかも。
・民主党は税収増を1兆2000億ドルにまで妥協する用意があるようだ。
・共和党は8000億ドルに抑えたい。上院を通過したMiddle Class Tax Cut Actでも8310億ドルだったのだから。
・オバマ大統領は社会保障費のカットを3500億ドルにおさえたい。共和党は8000億ドルを狙っている。
・歳出一律カットを延期するための暫定的な歳出削減もやる。そのうえで抜本的な歳出カットを協議がまとまらなければ、歳出一律カットと増税をセットにしてやる。デッドラインは来年秋。(多分)
・世論調査によると、協議が決裂したとすれば、大半の国民が共和党に責任があると考えている。
・だから、共和党内にはMiddle Class Tax Cut Actを下院で通しちゃって、富裕層への税率アップを認めちゃえという声もある。ただし、この法律には緊急失業保険の延長とか債務上限の引き上げとかは含まれていない。増税さえ認めてしまえば、共和党側が民主党側に妥協を求めるという構図を作ることができる。
・ただし下院でMiddle Class tax Cut Actを通すというのはそれほど簡単ではない。共和党から30人ぐらいの賛同者を出さなければならないけれど、各議員にとって簡単に妥協しちゃうことは選挙対策上好ましくないからだ。
写真はベイナー下院議長。バスケットボールで有名なゼイビア(Xavier)大学を卒業後、中小企業経営を経て、1990年の下院選挙でオハイオ州8区から出馬して初当選。以来、下院一筋22年。2年ごとに選挙やって、ここまでたどり着くっていうのは偉いもんですなぁ。
オバマ大統領は11月29日にガイトナー財務長官を「特使」として共和党に提案を行っています。この内容は文書では公開されていないみたいですが、報道によると内容は以下のようなものらしい。【CNNの記事】【CNBCの記事】【WSJの記事】
・10年間で1兆6000億ドルの税収増。このうち9600億ドルは年収25万ドル以上の富裕層向けの税率引き上げ、キャピタルゲインや配当への課税の強化でまかなう。さらに今後の税制改正で6000億ドルを捻出する。相続税を2009年の水準まで引き上げることや、控除などの見直しを含む。
・Budget Control Actで定められた財政支出の一律カットの1年延期。
・景気刺激策、失業保険の拡充などで500億ドルの支出増。
・債務上限問題が2011年のような混乱を起こすことを避けるため、大統領が債務上限を引き上げる権限を握る。
・メディケアなどへの支出を4000億ドル減らす。詳細は来年協議する。
この提案を行ったうえで、ガイトナー財務長官は12月2日のCNNの番組"State of the Union"でも、「税率引き上げがない限り、fiscal cliff問題での合意はない」と宣言したりしています。(参照) 妥協する気は全くないぞという感じですね。
これに対して共和党は12月3日、文書でオバマ大統領に遺憾の意を表明。(参照) それによると、
・1兆6000億ドルなんていう額は、大統領選で主張していた額の2倍じゃないか。
・歳出カットの4倍もの税収増を見込んでおり、とてもじゃないけど、大統領自身が主張してきた「バランスのとれたアプローチ」とは言えない。
・大統領側は「1ドルの税収増に対して、2.5ドルの歳出カットを行っている」と説明しているが、それは過去の歳出カットも含めた計算じゃないか。
・債務上限を取り払うとはどういうことだ。
・こんな不真面目な提案を出してくるようでは、我々は下院を通過した"Budget Resolution"に基づいた対応をとるしかない。
などと主張しています。で、その対応の内容はというと、
・メディケアの抜本的な改革で、受給者に保証内容の選択肢を与えるようにする。貧しい人や病気の人にはサポートを厚くし、富裕層へのサポートは削る。現在の高齢者には影響が出ないようにする。これによってメディケアの支出は抑制されて、維持可能なものになる。
・メディケイドも改革して、州政府の裁量を大きくする。受給者の状況を改善しながら、10年間で8000億ドル近くを節約できる。
・Federal employee compensationやSupplemental Nutrition Assistance Programの改革で数千億ドルを節約する。
とのこと。
さらに具体的には、オバマ大統領が作った"National Commission on Fiscal Responsibility and Reform"のErskine Bowles共同議長が2011年11月1日に行った提案を例に挙げています。この提案は、税率アップではなく控除などの見直しにより8000億ドルの税収増を確保し、mandatory spendingで9000億ドル、discretionary spendingで3000億ドルの歳出カットを行うとしたもので、共和党側は「完璧な解決策ではないけど、公平な妥協点だ」としています。
これに対してオバマ大統領側からは歩み寄りの姿勢はないようで、共和党のベイナー下院議長は8日の会見で協議について「進展はない」と表明しています。 (参照) ただ、10日になってオバマ大統領とベイナー下院議長が話し合いの機会をもっています。詳細は明らかにされていませんが、“the lines of communication remain open”ということのようです。
で、今後の行方について、ワシントンポストの記事がややこしくて面白い。(参照) 簡単にまとめてみると。
・最高税率は35%~39.6%の間で落ち着く可能性がある。
・増税の対象を25万ドル以上ではなくて、37万5000ドルとか50万ドルとかにするかも。
・民主党は税収増を1兆2000億ドルにまで妥協する用意があるようだ。
・共和党は8000億ドルに抑えたい。上院を通過したMiddle Class Tax Cut Actでも8310億ドルだったのだから。
・オバマ大統領は社会保障費のカットを3500億ドルにおさえたい。共和党は8000億ドルを狙っている。
・歳出一律カットを延期するための暫定的な歳出削減もやる。そのうえで抜本的な歳出カットを協議がまとまらなければ、歳出一律カットと増税をセットにしてやる。デッドラインは来年秋。(多分)
・世論調査によると、協議が決裂したとすれば、大半の国民が共和党に責任があると考えている。
・だから、共和党内にはMiddle Class Tax Cut Actを下院で通しちゃって、富裕層への税率アップを認めちゃえという声もある。ただし、この法律には緊急失業保険の延長とか債務上限の引き上げとかは含まれていない。増税さえ認めてしまえば、共和党側が民主党側に妥協を求めるという構図を作ることができる。
・ただし下院でMiddle Class tax Cut Actを通すというのはそれほど簡単ではない。共和党から30人ぐらいの賛同者を出さなければならないけれど、各議員にとって簡単に妥協しちゃうことは選挙対策上好ましくないからだ。
写真はベイナー下院議長。バスケットボールで有名なゼイビア(Xavier)大学を卒業後、中小企業経営を経て、1990年の下院選挙でオハイオ州8区から出馬して初当選。以来、下院一筋22年。2年ごとに選挙やって、ここまでたどり着くっていうのは偉いもんですなぁ。
2012年11月15日木曜日
オバマ会見
オバマが14日に会見してます。大統領就任後としては初めてです。(参照)
Fiscal Clifff(財政の崖)については、これまで通り、すでに上院を通過しているMiddle Class Tax Cut Actを共和党多数の下院が通過させれば、とりえあずは年間所得25万ドル以下の世帯への減税は実現できるとしています。
で、25万ドル以上の世帯に対してどうするかについて、記者から「クリントン時代の税率(最高税率で39.6%)にする以外の選択肢は考えていないのか?」という趣旨の質問があったのですが、それに対しては、「新しいアイデアにたいしてはオープンだ」と答えています。
With respect to the tax rates, I just want to emphasize I am open to new ideas. If Republican counterparts or some Democrats have a great idea for us to raise revenue, maintain progressivity, make sure the middle class isn’t getting hit, reduces our deficit, encourages growth, I’m not going to just slam the door in their face. I want to hear ideas from everybody.
共和党のマケイン上院議員とグラハム上院議員が、スーザン・ライス国連大使がリビアの領事館襲撃テロ後の会見で「襲撃はテロではなく、暴動が偶発的に領事館への襲撃につながった」という趣旨の説明していたことを理由に、国務長官への就任に反対すると表明していることについては、人事はまだ決まっていないとしたうえで、「ライス国連大使は当事手元にあった情報に基づいて会見しただけで、それを理由に彼女の評判を貶めるのはとんでもないことだ」と答えています。「襲撃の経緯の分析について文句があるなら、彼女のところじゃなくて、俺んところに来い」「彼女がeasy targetだと思ってんだろう、ゴルァ」的なことも言っています。かっこいいですね。で、ライス国連大使が最適な人材だと判断すれば、国務長官に任命するんだそうです。
As I’ve said before, she made an appearance at the request of the White House in which she gave her best understanding of the intelligence that had been provided to her. If Senator McCain and Senator Graham and others want to go after somebody, they should go after me. And I’m happy to have that discussion with them. But for them to go after the U.N. Ambassador, who had nothing to do with Benghazi, and was simply making a presentation based on intelligence that she had received, and to besmirch her reputation is outrageous.
(中略)
But when they go after the U.N. Ambassador, apparently because they think she’s an easy target, then they’ve got a problem with me. And should I choose, if I think that she would be the best person to serve America in the capacity of the State Department, then I will nominate her. That's not a determination that I’ve made yet.
イランの核開発問題については、外交的な解決が一番だとしています。この数カ月のうちに、イランと国際社会の対話をもって、問題解決を目指したいとのこと。
With respect to Iran, I very much want to see a diplomatic resolution to the problem. I was very clear before the campaign, I was clear during the campaign, and I’m now clear after the campaign -- we’re not going to let Iran get a nuclear weapon. But I think there is still a window of time for us to resolve this diplomatically. We’ve imposed the toughest sanctions in history. It is having an impact on Iran’s economy.
There should be a way in which they can enjoy peaceful nuclear power while still meeting their international obligations and providing clear assurances to the international community that they’re not pursuing a nuclear weapon.
And so, yes, I will try to make a push in the coming months to see if we can open up a dialogue between Iran and not just us, but the international community, to see if we can get this things resolved. I can’t promise that Iran will walk through the door that they need to walk through, but that would be very much the preferable option.
気候変動問題についての質問も出ています。温室効果ガスの排出量増加が気候変動に影響を与えていることについては確信をもっているそうですが、雇用や経済成長を無視するような気候変動対策には賛成できないそうです。
And I am a firm believer that climate change is real, that it is impacted by human behavior and carbon emissions. And as a consequence, I think we've got an obligation to future generations to do something about it.
(中略)
I don't know what either Democrats or Republicans are prepared to do at this point, because this is one of those issues that's not just a partisan issue; I also think there are regional differences. There’s no doubt that for us to take on climate change in a serious way would involve making some tough political choices. And understandably, I think the American people right now have been so focused, and will continue to be focused on our economy and jobs and growth, that if the message is somehow we're going to ignore jobs and growth simply to address climate change, I don't think anybody is going to go for that. I won't go for that.
シリアの反体制派が統一組織である「シリア国民連合」を結成して、フランスがシリアの代表として承認したことについては、オバマはシリア国民連合をシリアの人々の望みを代表するものだとは認めるけれど、亡命政府としてはまだ認めないつもりだそうです。イスラム過激派がシリアの反体制派に加わっているという話もあるので、そう簡単には判断できないようです。
We consider them a legitimate representative of the aspirations of the Syrian people. We’re not yet prepared to recognize them as some sort of government in exile, but we do think that it is a broad-based representative group. One of the questions that we’re going to continue to press is making sure that that opposition is committed to a democratic Syria, an inclusive Syria, a moderate Syria.
We have seen extremist elements insinuate themselves into the opposition, and one of the things that we have to be on guard about -- particularly when we start talking about arming opposition figures -- is that we’re not indirectly putting arms in the hands of folks who would do Americans harm, or do Israelis harm, or otherwise engage in actions that are detrimental to our national security.
Fiscal Clifff(財政の崖)については、これまで通り、すでに上院を通過しているMiddle Class Tax Cut Actを共和党多数の下院が通過させれば、とりえあずは年間所得25万ドル以下の世帯への減税は実現できるとしています。
で、25万ドル以上の世帯に対してどうするかについて、記者から「クリントン時代の税率(最高税率で39.6%)にする以外の選択肢は考えていないのか?」という趣旨の質問があったのですが、それに対しては、「新しいアイデアにたいしてはオープンだ」と答えています。
With respect to the tax rates, I just want to emphasize I am open to new ideas. If Republican counterparts or some Democrats have a great idea for us to raise revenue, maintain progressivity, make sure the middle class isn’t getting hit, reduces our deficit, encourages growth, I’m not going to just slam the door in their face. I want to hear ideas from everybody.
共和党のマケイン上院議員とグラハム上院議員が、スーザン・ライス国連大使がリビアの領事館襲撃テロ後の会見で「襲撃はテロではなく、暴動が偶発的に領事館への襲撃につながった」という趣旨の説明していたことを理由に、国務長官への就任に反対すると表明していることについては、人事はまだ決まっていないとしたうえで、「ライス国連大使は当事手元にあった情報に基づいて会見しただけで、それを理由に彼女の評判を貶めるのはとんでもないことだ」と答えています。「襲撃の経緯の分析について文句があるなら、彼女のところじゃなくて、俺んところに来い」「彼女がeasy targetだと思ってんだろう、ゴルァ」的なことも言っています。かっこいいですね。で、ライス国連大使が最適な人材だと判断すれば、国務長官に任命するんだそうです。
As I’ve said before, she made an appearance at the request of the White House in which she gave her best understanding of the intelligence that had been provided to her. If Senator McCain and Senator Graham and others want to go after somebody, they should go after me. And I’m happy to have that discussion with them. But for them to go after the U.N. Ambassador, who had nothing to do with Benghazi, and was simply making a presentation based on intelligence that she had received, and to besmirch her reputation is outrageous.
(中略)
But when they go after the U.N. Ambassador, apparently because they think she’s an easy target, then they’ve got a problem with me. And should I choose, if I think that she would be the best person to serve America in the capacity of the State Department, then I will nominate her. That's not a determination that I’ve made yet.
イランの核開発問題については、外交的な解決が一番だとしています。この数カ月のうちに、イランと国際社会の対話をもって、問題解決を目指したいとのこと。
With respect to Iran, I very much want to see a diplomatic resolution to the problem. I was very clear before the campaign, I was clear during the campaign, and I’m now clear after the campaign -- we’re not going to let Iran get a nuclear weapon. But I think there is still a window of time for us to resolve this diplomatically. We’ve imposed the toughest sanctions in history. It is having an impact on Iran’s economy.
There should be a way in which they can enjoy peaceful nuclear power while still meeting their international obligations and providing clear assurances to the international community that they’re not pursuing a nuclear weapon.
And so, yes, I will try to make a push in the coming months to see if we can open up a dialogue between Iran and not just us, but the international community, to see if we can get this things resolved. I can’t promise that Iran will walk through the door that they need to walk through, but that would be very much the preferable option.
気候変動問題についての質問も出ています。温室効果ガスの排出量増加が気候変動に影響を与えていることについては確信をもっているそうですが、雇用や経済成長を無視するような気候変動対策には賛成できないそうです。
And I am a firm believer that climate change is real, that it is impacted by human behavior and carbon emissions. And as a consequence, I think we've got an obligation to future generations to do something about it.
(中略)
I don't know what either Democrats or Republicans are prepared to do at this point, because this is one of those issues that's not just a partisan issue; I also think there are regional differences. There’s no doubt that for us to take on climate change in a serious way would involve making some tough political choices. And understandably, I think the American people right now have been so focused, and will continue to be focused on our economy and jobs and growth, that if the message is somehow we're going to ignore jobs and growth simply to address climate change, I don't think anybody is going to go for that. I won't go for that.
シリアの反体制派が統一組織である「シリア国民連合」を結成して、フランスがシリアの代表として承認したことについては、オバマはシリア国民連合をシリアの人々の望みを代表するものだとは認めるけれど、亡命政府としてはまだ認めないつもりだそうです。イスラム過激派がシリアの反体制派に加わっているという話もあるので、そう簡単には判断できないようです。
We consider them a legitimate representative of the aspirations of the Syrian people. We’re not yet prepared to recognize them as some sort of government in exile, but we do think that it is a broad-based representative group. One of the questions that we’re going to continue to press is making sure that that opposition is committed to a democratic Syria, an inclusive Syria, a moderate Syria.
We have seen extremist elements insinuate themselves into the opposition, and one of the things that we have to be on guard about -- particularly when we start talking about arming opposition figures -- is that we’re not indirectly putting arms in the hands of folks who would do Americans harm, or do Israelis harm, or otherwise engage in actions that are detrimental to our national security.
2012年11月12日月曜日
ブッシュ減税終了とバフェットルール
オバマ大統領が再選されて、次はFiscal Cliff(財政の崖)への対応です。ブッシュ減税の終了による消費の下押しと、Budget Control Actで定められた予算規模の自動的なカットなどが景気を下押しすると予想されているわけですが、オバマとしてはどうしようとしているのか調べておいた。歳出カットの方はよく分からないので、ブッシュ減税の終了なんかについて。
まずブッシュ減税とは何ぞやということですが、これは2001年のTax Relief, Unemployment Insurance Reauthorization, and Job Creation Act(EGTRRA)と、2003年のJobs and Growth Tax Relief Reconciliation Act(JGTRRA)で実施された減税措置で、所得税やキャピタルゲイン課税と配当課税の税率が引き下げられ、所得税の最高税率は35%、キャピタルゲイン課税の最高税率は15%になった。2012年末にこのブッシュ減税が失効すると、所得税の最高税率はブッシュ減税前の39.6%、キャピタルゲイン課税の最高税率は20%に戻ってしまいます。配当課税は普通の所得としてカウントされることになる。
で、オバマとしては選挙中から中間層への減税は続けて、年間所得25万ドル以上の世帯には増税しますよと約束してきた。(参照) ということで11月9日の演説では、「とりあえず25万ドル未満の世帯には減税を延長することには異論はないはずでしょ?」と共和党に呼びかけています。
民主党はすでに7月25日、25万ドル未満の世帯への減税を延長するMiddle Class Tax Cut Act(参照1)(参照2)を上院で通しています。tax bracketを修正して、25万ドル未満の減税を継続、25万ドル以上は増税しようという内容です。だからオバマは11月9日の演説では、「共和党さえ賛成してくれれば、協議に時間はかからないよね」と言っています。ちなみに、このMiddle Class Tax Cut Actの採決は51対48。民主党のJim Webb(D-VA)と民主党系無所属のJoseph Lieberman(I-CN)が共和党とともに反対しています。
あと、先ほどのオバマの公約では25万ドル以上の世帯への増税のほか、Buffet Rule(バフェットルール)についても書かれています。バフェットルールは、年収100万ドル超の世帯のなかに、所得税とpayroll taxを合わせた実効税率が年収25万ドル未満の中間所得層の実効税率よりも低い世帯があるということを問題視したもので、「年収100万ドル超の世帯の実効税率を30%以上にしよう」というルールです。
ホワイトハウスの資料によると、年収5万ドル~10万ドルの世帯の実効税率は平均13%、10万ドル~25万ドルの世帯では18%。100万ドル以上の世帯だと平均で20~26%ということですから、25万ドル未満の世帯よりも高いわけです。でも100万ドル超を稼いでいる世帯のうち2万2000世帯では実効税率が15%未満になっていたりすることもある。ヘッジファンドのマネジャーが、収入を「キャピタルゲイン」として申告して、税率を15%にしたりしているかららしいです。バフェットルールが成立すると、2012~22年の税収は$46.7 billion増えると試算されています。(参照、このメモの冒頭にブッシュ減税の簡単なまとめがあります)
ちなみに民主党はバフェットルールについて定めたPaying a Fair Share Actを上院に提出し、4月16日に51人の賛成を得ていますが、共和党がフィリバスターでブロックしています。共和党は何がなんでも増税反対の姿勢をとっているというわけです。
2012年10月17日水曜日
Budget Control Act of 2011とFiscal Cliff
Budget Control Act of 2011について調べておいた。
成立は2011年8月2日。
内容はこんな感じ。サマリーはこちら。
・FY2012-2021の予算のうち、裁量的経費について国防関連も含めて自動的にカットする
・public debtのリミットを14.294 trillionから、$400 bn分だけ引き上げる
・議会からの反対がなければ、さらに$500 bn引き上げることができる
・同じような手続きで、さらに$1.2 trillion分引き上げることができる
・Joint Select Committee on Deficit Reduction(Super Committee)を作って、FY2012-2021にかけて$1.2 trillion以上の歳出削減のための合意を目指す
で、このSuper Committeeで何らかの合意がなされれば、予算の自動的カットを回避できるかもしれなかったけど、実際には合意に至らなかった。ということで、FY2012は$21 bn分の歳出抑制が行われ、FY2013から自動的な歳出カットが行われるということみたいです。(参照)
一方、オバマ大統領はこの法律に基づいて、11年9月にdebt limitを$900 bn分引き上げて、12年1月にさら$1.2 trillion分の引き上げを議会に要請した。(参照) この要請も認められて、今の債務上限は$16.394 trillion。で、この上限も来年1月ごろに突破するかもしれないという話もある。(参照)
とまぁ、こんな状態ですが、12年末にはブッシュ減税が期限切れとなって、13年1月からは増税となります。ブッシュ減税って10年にも期限切れになりかけたんだけど、オバマ政権が12月にTax Relief, Unemployment Insurance Reauthorization, and Job Creation Actを成立させて、期限が延長されていたのです。Congressional Budget Officeによると、現行法に基づいて、自動的な予算カットや増税が行われれば、FY2013の財政赤字は$607 bn(GDP比4%)も圧縮されます。経済成長が抑制されて税収が圧縮されるなどの効果を考慮しても、やっぱり$560 bnも財政赤字削減効果がある。(参照)
ただし、これでよかったよかったというわけではなくて、景気が下押しされることへの不安も大きい。これがいわゆるFiscal Cliff問題というやつですね。ウィキペディアによると、バーナンキさんが12年2月の議会証言で初めて使った言葉らしいです。(参照)
へぇ。
成立は2011年8月2日。
内容はこんな感じ。サマリーはこちら。
・FY2012-2021の予算のうち、裁量的経費について国防関連も含めて自動的にカットする
・public debtのリミットを14.294 trillionから、$400 bn分だけ引き上げる
・議会からの反対がなければ、さらに$500 bn引き上げることができる
・同じような手続きで、さらに$1.2 trillion分引き上げることができる
・Joint Select Committee on Deficit Reduction(Super Committee)を作って、FY2012-2021にかけて$1.2 trillion以上の歳出削減のための合意を目指す
で、このSuper Committeeで何らかの合意がなされれば、予算の自動的カットを回避できるかもしれなかったけど、実際には合意に至らなかった。ということで、FY2012は$21 bn分の歳出抑制が行われ、FY2013から自動的な歳出カットが行われるということみたいです。(参照)
一方、オバマ大統領はこの法律に基づいて、11年9月にdebt limitを$900 bn分引き上げて、12年1月にさら$1.2 trillion分の引き上げを議会に要請した。(参照) この要請も認められて、今の債務上限は$16.394 trillion。で、この上限も来年1月ごろに突破するかもしれないという話もある。(参照)
とまぁ、こんな状態ですが、12年末にはブッシュ減税が期限切れとなって、13年1月からは増税となります。ブッシュ減税って10年にも期限切れになりかけたんだけど、オバマ政権が12月にTax Relief, Unemployment Insurance Reauthorization, and Job Creation Actを成立させて、期限が延長されていたのです。Congressional Budget Officeによると、現行法に基づいて、自動的な予算カットや増税が行われれば、FY2013の財政赤字は$607 bn(GDP比4%)も圧縮されます。経済成長が抑制されて税収が圧縮されるなどの効果を考慮しても、やっぱり$560 bnも財政赤字削減効果がある。(参照)
ただし、これでよかったよかったというわけではなくて、景気が下押しされることへの不安も大きい。これがいわゆるFiscal Cliff問題というやつですね。ウィキペディアによると、バーナンキさんが12年2月の議会証言で初めて使った言葉らしいです。(参照)
へぇ。
登録:
投稿 (Atom)




