2016年2月6日土曜日

The Japanese Lover

"The Japanese Lover"という小説を読んだ。「昨年の秋ごろに有名作家の待望の新刊がでます!」みたいな感じで話題になっていて、タイトルがJapanese Loverということなので、どんな本なのだろうと思って、昨年末ごろから読み始めたものです。ラブストーリーはほとんど読んだことがないので何とも比較のしようがないですが、別に面白くもない小説でした。

カリフォルニアの高齢者施設で暮らすアルマ・ベラスコさんという女性のストーリーです。アルマさんは子供のころ、第二次世界大戦中のポーランドからユダヤ人迫害を逃れて、親戚にあたるカリフォルニアの資産家の一家であるベラスコ家で暮らすようになって、そこで出会った庭師の息子で、同じ年頃の日系2世の男性、イチメイ・フクダさんと恋に落ちる。で、まぁ、いろいろあって2人は結ばれなかったわけだけれど、それでも2人の愛は永遠に続いているのだっていう筋立てですね。典型的なラブストーリーなんでしょうか。終盤になって何人かの登場人物の以外な過去が明らかになったりもするのですが、「あぁ、そうだったのね」というぐらいの話です。「実はイチメイ・フクダはアルマの想像のなかでしか存在しない、戦争でトラウマを背負った少女が現実逃避のために生み出した架空の人物像だったのだ!」なんていう話ではありません。

で、私の個人的な関心は、こういう小説に登場する日系人っていうのがどんな風に描かれるのかということなわけですが、これが驚くほどにステレオタイプでした。

・子供のころのイチメイは細身で小柄。でも重い荷物でも軽々運べる
・目は離れ気味で、笑うとなくなってしまう
・父親から空手と柔道を教わっている。気の弱いベラスコ家の長男に手ほどきをしたところ、その長男はいじめっこを投げ飛ばすことができるようになった
・大人になってからも、身長はアルマさんより頭半分低い。でも知的で、アルマが戦争の悲しみを引きずっているときは、いつでも気を紛らわせてくれる
・イチメイの父親のタカオは英語が上手くないが、庭師としての腕は一流で、ベラスコ家の当主、アイザックの厚い信頼を得る
・タカオは日系人として強制収容されたときも「仕方がない」と受け入れた。家宝として大切にしていた日本刀をアイザックに託した
・イチメイの母親はヒデコは明るく、しっかりとした働き者。
・イチメイの姉のメグミもしっかりとした働き者。勉強して医者になろうとしている
・イチメイは手先が器用で、収容所のなかで木製のヨットを作って遊んだりした
・イチメイの兄のひとり、チャールズは日系人部隊に志願して戦死。
・もうひとりの兄、ジェームズは日系人の収容への抵抗運動を続けて、行方知れずになった
・タカオは戦後に収容所を出た後、アイザックとの共同事業として花卉栽培のビジネスを始めるが、タカオ自身は金儲けには興味がない
・イチメイはタカオの仕事を引き継ぐことになるが、やはり商売っ気はない

チャールズとジェームズは日本人のステレオタイプからは離れている気もしますが、まぁ名前がチャールズとジェームズですからね。作者が大して愛着をもっていないことは明らかです。あと、イチメイはベッドのなかでは情熱的らしいですよ。これはどうなんでしょう。ステレオタイプなんでしょうか。

ニューヨーク・タイムズの書評でも「登場人物がステレオタイプ」をされていますね。
http://www.nytimes.com/2015/12/13/books/review/the-japanese-lover-by-isabel-allende.html?_r=0

まぁ、感想としてはそのぐらいです。

あと、キンドルで本を読んでいると、下の方に「このチャプターを読み終えるのに約20分かかります」なんていう表示がでるのですが、実際に読んでみると本当に20分ぐらいで終わったりしました。読むのが早くなったのかもしれません。まぁ、そんなに難しい英語でもないし、難しい筋立てでもないですけどね。