2016年8月28日日曜日

Bootlegeer's Daughter

"Bootlegger's Daughter"という本を読んだ。ミステリです。

この本を選んだきっかけは、英語で好きなジャンルである推理小説でも読んでみようかということだったのですが、英語圏の有名作家が誰なのかも知らないもので、どの本を選んでよいのか分からない。そこで「伝統的なミステリ」を対象とするアガサ賞受賞作から選んでみた次第です。

ウィキペディアによると、アガサ賞が対象とする伝統的なミステリとは、

あからさまな性描写や過激な流血、暴力シーンがないミステリ作品と緩やかに定義されていて、たいていは、警察官や私立探偵ではない一般の人が主人公となり、狭い地域を舞台として、お互い顔見知りの人々の中で起きる事件や謎を解決するミステリ

とのこと。映画化されるような「サスペンス+アクション」みたいなのではなく、プロット重視の「謎解き」みたいな感じなのではないでしょうか。

作者のMargaret Marronはアガサ賞の常連で、ほかにもいろんな賞をとっています。2013年には、Mystery Writers of Americaが授与する最高賞であるGrand Master Awardを取っています。そうそうたる面々が受賞している賞ですから、なかなか立派な作家なのでしょう。


で、読んでみた感想としては、面白かったです。派手なアクションもないうえ、不可能犯罪的なトリックもありませんが、きちんと意外な人物が犯人ですし、その動機も納得できるように思えました。オープニングもショッキングです。同性愛者が出てきます。あまりストーリーとは関係ないですが、双子も出てきます。

主人公はノースカロライナ州のDeborah Knottという女性弁護士で、民主党からDistrict Judgeに立候補しているという設定。その予備選で、Luther Parkerという黒人の弁護士と、候補者の座を争っています。その最中、18年前の未解決殺人事件の被害者の娘から、「18年前に母親が死んだときの真相を探ってほしい」と依頼されます。その調査の過程で、新たな殺人事件も発生します。つまり、選挙の話と、謎解きの話の2本立てでストーリーが進行するわけですね。だから、登場人物はやたらと多いです。ミステリなので、このやたらと多い登場人物の全員が怪しいように思えます。だから、最初のうちはやたらと読むのに時間がかかるのですが、だいたい「この人は悪い人じゃないな」とか「どう考えたって仲間だな」というのが分かってくると、スムーズに読めるようになりました。

正直、ミステリが読みたくで選んだ本ですから、選挙の話はややこしいばかりで面白くないようにも思えます。ただ、Deborahの父親のKezzie Knottという人が魅力的で、もともとは密造酒とかマリファナ栽培なんかに手を染めていた悪い人なうえ、脱税で起訴されて、8カ月ほど刑務所に入っていたこともあったけど、知事や上院議員の動きによって、この起訴と収監の記録は抹消されているという設定です。この本では、すべての謎が解決した後で、このお父さんがいろいろとなんやかんやして、選挙の話で、先に続くような展開が出てきます。この本は1992年に出版されたDeborah Knottシリーズの第1作で、2015年8月までに20作出ているみたいなので、今後は政治の方の話も大河ドラマ的な展開になっていくんじゃないでしょうか。間違っているかもしれませんけど。

次作も読んでみたいと思います。

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