"It's Not About The Bike"を読んだ。
アメリカのプロ自転車レーサー、ランス・アームストロングの自伝。21歳にして世界選手権に優勝した後、精巣ガンが見つかり、それが脳と肺にも移転するという最悪の状態に見舞われます。しかし、ガンの摘出手術と化学療法による治療を経て、カムバック。その後、1999年から2005年までツールドフランスを7連覇したという人。本では母子家庭に育った生い立ちから、2000年のツールドフランス優勝までについて書かれています。あと、結婚と子供が生まれたことも。
私は闘病ものはしめっぽくて嫌いです。っていうか、読んだことない。でも、これはガンに打ち勝ったうえにツールドフランスに優勝しちゃうっていう話ですから、まぁなんというかすごいパワフルです。ガンが見つかったときのショックとか、それまでのスポンサーが離れていくときの不安とか、化学療法の過酷さとか、ガンの治療が終わった後、復帰を決意するまでの間の葛藤なんかもあるんですが、なんだかんだで全部蹴散らしてしまう。すごいなぁと。「病気のおかげで強くなれた」というのはよく聞く言いまわしですが、なんとなく「ほんまかいな」という気にさせられるのも確か。でも、この本の場合は「病気のおかげでツールドフランス7連覇できるぐらい強くなれた」って話ですから、すごい説得力です。
文章はそんなに難しくなくて、病気や自転車に関する専門用語も分かりやすく説明してくれています。看護婦さんのセリフとか、復帰後に自分の力が戻っていることを確信するシーンとか、泣かせどころもあって楽しみながら読める本。
闘病中のランスを献身的に支えたLaTriceというインディアナ大学病院の看護婦さんが化学療法の最後の段階でランスにかけた超かっこいいセリフ。あんまりかっこいいので引用すると、
"Lance," she said, softly, "I hope someday to be just a figment of your imagination. I'm not here to be in your life for the rest of your life. After you leave here, I hope I never see you ever again. When you're cured, hey, let me see you in the papers, on TV, but not back here. I hope to help you at the time you need me, and then I hope I'll be gone. You'll say, 'Who was that nurse back in Indiana? Did I dream her?'"
It is one of the single loveliest things anyone has ever said to me. And I will always remember every blessed word.
ランスは彼女に会ったことで地上に天使がいることを確信したそうです。くーっ。
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