2012年9月29日土曜日

どうなんだ尖閣

尖閣問題についての日本の主張を調べてみました。まぁ、外務省のサイトをみただけですけど。

ちなみに前回、中国側の主張をまとめるために読んだ「釣魚島は中国固有の領土である白書」は、人民日報日本語版のサイトにあります。

で、日本側の主張なんですが、

・日本は国際法の手続きに則って尖閣諸島が無主地であることを確認し、1895年1月に尖閣諸島を領土に編入した。(←中国は「釣魚島は古来から中国の領土だった」「日本は釣魚島編入の手続きを秘密裏に進めており、国際法上の効力はない」と主張)

・なので1895年5月の下関条約(馬関条約)によって、中国から日本に割譲されたものではない。(←中国は「馬関条約で中国から日本に割譲された」「(馬関条約を否定した)『カイロ宣言』『ポツダム宣言』『日本降伏文書』に基づき、釣魚島は台湾の付属島嶼として台湾といっしょに中国に返還されるべきもの」と主張)

・1951年のサンフランシスコ平和条約で日本が放棄した領土に尖閣諸島は含まれておらず、南西諸島の一部としてアメリカの施政下に置かれた。(←中国は「アメリカの施政下におかれた南西諸島に釣魚島は含まれていない」「アメリカは52年2月の68号令、53年12月の27号令で、釣魚島を管轄下に組み込んだ」と主張)

・1971年の沖縄返還協定で尖閣諸島は日本に返還された。(←中国は「沖縄返還協定には声明を発表して抗議している」と主張)

・中国は1970年後半に尖閣諸島周辺で石油開発の動きが出てきたことを受けて、尖閣諸島の領有権を問題とし始めた。(←中国は「中国はサンフランシスコ平和条約に反対。1958年には領海に関する声明を発表して、釣魚島の領有を主張している」と主張)

ということです。意見があいませんなぁ。


まず「日本は尖閣諸島は無主地であることを確認のうえで領土に編入した」という日本の主張が正しいかどうかですけど、中国は「順風相送」「中山世鑑」とかいった古い文献を持ち出したり、手続きの正当性に疑問を投げかけて否定しています。これに対して、日本側はさっきの外務省サイトからリンクされているQ&Aで、「(中国の指摘は)いずれも尖閣諸島に対する中国の領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とは言えません」とだけ反論しています。でも、これだけじゃ日本の主張が正しいのかどうかよく分りません。

次は「尖閣諸島は下関条約で中国から日本に割譲されたものではない」という日本の主張について。下関条約第2条では「奉天省南部」「台湾と付属島嶼」「澎湖列島」が日本に割譲されることになっています。で、中国は魚釣島は白書で「台湾の付属島嶼としてともに日本に割譲された」と主張している。下関条約は台湾の付属島嶼がどの島であるかは明示していなくて、細かい範囲は両国から選出した境界共同画定委員が決めるとなっています。この画定委員がどんな判断を下したかは、ちょっとインターネットで検索してみたぐらいでは分りません。多分。ちなみに下関条約はこちら

「サンフランシスコ平和条約で日本が放棄した領土に尖閣諸島は含まれていない」という日本の主張については、サンフランシスコ平和条約を読めば分るんじゃないか。で、読んでみると、放棄する地域について定めた第2条に「台湾および澎湖諸島」が含まれている。中国的には釣魚島は台湾の付属島嶼なわけだから、「台湾と書いてあるんだから、その付属島嶼である釣魚島も含まれているに決まっている」と言いたいのかもしれません。日本にすれば「付属島嶼なんてどこにも書いていないじゃんかよ」ということでしょう。で、アメリカが委託統治する地域を定めた第3条には「北緯29度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む)」というのが入っている。尖閣諸島は北緯25~26度ぐらいですから、まぁ、尖閣は南西諸島に含まれているのかなという気もします。サンフランシスコ平和条約はこちら

沖縄返還協定で尖閣諸島が日本に返還されたことについては、中国も認めています。白書によると、1971年12月30日に「米日両国政府が沖縄『返還』協定で、中国の釣魚島などの島嶼を『返還地域』に組み入れたことは、まったく不法なことであり、これは中華人民共和国の釣魚島などの島嶼に対する領土主権をいささかも改変し得るものではない」と抗議したとしています。つまり、1951年のサンフランシスコ平和条約で米国に統治委託された地域に魚釣島は含まれていなかったので抗議しなかったけど、71年の沖縄返還協定の範囲には魚釣島が含まれていたので抗議したということじゃないでしょうか。

このあたりの経緯が日本からすれば、「中国は尖閣周辺で石油が出るかもという話になったので急に領有権を主張し始めたのではないか」という主張につながるんだと思います。


長いので、続きます。

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