2013年4月30日火曜日

歳出強制削減と2014年度予算

また古い話なんですが、オバマ大統領が2014年度の予算案を提出しました。で、これが例の歳出強制削減(Sequestration)とどんな関係になっているのか分からないので、調べてみた。

オバマ大統領が予算案を提出したのは4月10日。オバマ大統領は同じ日に2014年度予算にも歳出強制削減が適用されますよという文書を出している。(参照)

このなかで歳出強制削減の内容については行政管理予算局(OMB)が同じ日に出したレポートに基づいて行われますということになっている。そのレポートがこちらです。

で、このレポートの中の Table 1. "OVERVIEW OF CHANGES TO DISCRETIONARY SPENDING LIMITS AND THE PRESIDENT'S PROPOSED LIMITS IN THE 2014 BUDGET"(Discretionary budget authority in billions of dollars)というのが、歳出強制削減と予算案の関係を示しているんだと思います。

一番上のOriginal limits set in Title I of the Budget Control Act of 2011というところ。2014年は1,066 bnとなっている。で、2コ下のRedefinition of limits pursuant to section 251A of BBEDCAのところに、その1,066 bn をDefense(556 bn)とNon-Defense(510 bn)に分けた数字が出ている。これはBudget Control Act of 2011の251Aに出ている数字と同じです。(参照) つまり、2014年度の予算では、裁量的経費(Discretionary Spending)の上限は1兆660億ドルで、このうち国防費が5560億ドル、非国防費が5100億ドルということです。

4つ目のAdjustments pursuant to section 901(d) of the ATRAの項目の、2014年のところにあるDefenseで-4.0、Non-Defenseで-4.0とあるのは、今年1月のAmerican Taxpayer Relief Actにある、

(3) for fiscal year 2014—
 (A) for the security category, $552,000,000,000 in
budget authority; and
 (B) for the nonsecurity category, $506,000,000,000 in
budget authority;

という記述を反映したものだと思います。つまり、さきほどのDefense(556 bn)から4を引いたら552になるし、Non-Defense(510 bn)から4を引いたら506になります。

その次、Joint Select Committee on Deficit Reduction Enforcementの項目。実はこれについてはよく分からない。分からないんだけれど、Defenseで53.9 bn、Non-Defenseで37.2 bnだけ、予算の上限がカットされて、その結果がさらに1コ下のRevised Limits Included in the OMB Preview Reportの数字になっているんだと思う。つまりBCAで定められた裁量的経費の上限は国防費5560億ドル、非国防費5100億ドルだったけど、いろいろと見なおしが重ねられた結果、現状では国防費で4981億ドル、非国防費で4688億ドルになっている。


で、この上限に基づいてオバマ大統領が予算案を提案することになるわけですが、次の項目はPresident's Proposed Changes to Discretionary Limits in the 2014 Budgetとなっている。つまり2014年度予算については、この裁量的経費の上限について見なおしを提案しますよと。で、その下にごちゃごちゃと数字が出ている。特にOCO/GWOT(Oversea Contingency Operations/Global War On Terror)の項目では、Defenseに88.5 bnの積み増しをやっている。その結果、President's proposed limits in the 2014 Budgetの裁量的経費の内訳は、国防費で6405億ドル、非国防費で5146億ドルになっている。

なんでしょう。こんなにいきなり見なおしを提案されちゃぁ、歳出強制削減の意味がないような気がするんですが。違うんでしょうか。


で、オバマ大統領の予算案に関するデータはこちらにあるんですが、このうちの一番下のファイル(Summary Tables)の中にあるTable S–5. Proposed Budget by Categoryというのを見てみると、一番最後の項目にMemorandum, budget authority for appropriated programsというのがあって、そこに出ている数字が先ほどのレポートにある国防費6405億ドル、非国防費5146億ドルという数字と一致しています。つまり裁量的経費に関する予算の枠はこれだけですよ、ということなんだと思う。

でも、同じ表の一番上の項目をみると、裁量的経費のうち国防費は6180億ドル、非国防費は6240億ドルとなっている。非国防費が枠を超えちゃっているような気がするんですけど。


私が重大な勘違いをしているんでしょうか、それとも「どっちにしたって民主党と共和党が合意すりゃいいわけだから、とりあえずは枠なんて無視しちゃえばいいんじゃないの。結局、BCAの枠を超えて国防費も非国防費も出すんだから、合意しやすい内容でしょ」ってことなんでしょうか。

変なの。

2013年4月25日木曜日

スーチーさんがやってきた。

この前、ミャンマーのアウンサンスーチーさんが来日して、東京大学で講演していました。(動画)

スーチーさんは言わずと知れたミャンマー民主化運動の指導者で、1991年にはノーベル平和賞も受賞した人です。自宅軟禁されたり、開放されたりといったことを繰り返してきた人ですね。そうしたなかで、ミャンマーの軍事政権は2010年11月にスーチーさんを解放し、11年3月には民政移行もやってしまった。長年にわたるスーチーさんの戦いは実を結びつつあるわけです。

私はそんなニュースを聞く度に、「スーチーさん、これから何するんだろう」って思っていたわけです。「民主化しろ!」って言い続けてきた人ですから、実際に民主化が実現したら、やることなくなっちゃうんじゃないかって。それに日本なんかじゃ、ずっと野党だった政党が政権についたら期待されたほどの仕事をできないなんていうことがあるわけですけど、スーチーさんもそんな風になっちゃうんじゃないかと。

で、この講演をちょっと前に聴いた。うろ覚えのところもありますが、のっけから「自由には責任が伴う」なんていう硬派な発言しています。しまいにはケネディの有名な言葉を引用して、「国家が何を与えてくれるのかを問うのではなく、国家にどんな貢献ができるかを問うべきだ」なんていうことまで言う。こういったことは、何も日本の東京大学の学生を対象とした講演だから言っているわけじゃなくて、ミャンマーの若い人たちにも言っているんだそうです。へぇ。なんかイメージ違いますね。もっと、「軍政反対! なんでも反対! だめなものはだめー! 援助ちょーだーい!」みたいな人かと思っていました。失礼な話ですね。いや、まぁ、なんの根拠もなく思っていたんですけどね。

あと、聴衆から「軍との関係をどうするのか?」と問われて、「そう尋ねられるといつも戸惑うんですが、」とかなんとか切り出していたのが印象的。スーチーさんは民主化運動を始めた当初から、「国民が軍を愛していた時代に戻る」ということを目標としていたということで、何も「軍を追い出せ!」と言っているわけじゃないんだそうです。長年、軍事政権に拘束・軟禁されてきた人ですから、もっと軍自体を嫌悪しているのかと思っていましたが、理想とするのは、「軍と国民がともに国の安全のために行動できる」という状況なんだとのこと。だから軍との関係については、「良い関係を築きたい」ということになるんですね。まぁ、アウンサン将軍の娘ということですから、当然かも知れませんが。

そういえば、スーチーさんがミャンマー中部の銅鉱山開発を支持して、地元の住民から怒号を浴びるなんていうニュースもありました。(参照)

この記事の最後に出てくるスーチーさんの言葉は、

“I have never done anything just for popularity,” she said. “Sometimes politicians have to do things that people dislike.”

です。

かっこいー。


あと、ミャンマーの民主化っていってもまだまだなんですね。スーチーさん自身が講演で説明していますけど、ミャンマーの憲法は議席の4分の1を軍人に割り当てることが決まっているんですね。なんかよく分からん制度ですが。で、この憲法改正には4分の3以上の賛成が必要。ということで、軍の同意を得られなければ、議席の4分の1を軍に割り当てるという軍優位の規定を変えることができない。

しかもスーチーさん解放直前の軍政下で行われた2010年11月の総選挙は、スーチーさんの政党である国民民主連盟(NLD)のメンバーの多くが立候補を禁止されたため、NLDは選挙をボイコット。その結果、軍の支援を受ける連邦団結発展党(USDP)が上下院の選挙議席の8割近くを占める大勝を収めました。(参照) NLDはスーチーさんも立候補した2011年4月の補選で大勝して、上下院あわせて44議席を獲得していますけど、軍人割り当て分も考慮した全議席に占める割合は10%程度です。(参照) それでも「最大野党」って呼ばれるわけですから、民主化への道のりはまだ始まったばかりという感じでしょう。

どうなるんですかね。ミャンマーとスーチーさん。

画像はどっかで拾ったスーチーさん。綺麗な人ですね。

2013年4月7日日曜日

ランド・ポールって誰?

ちょっと古い話なんですが、3月に米国でConservative Political Action Conference 2013というイベントがありました。米国の保守系の人たちが集まって盛り上がろうっていうイベントで、その一貫としてstraw pollっていう参加者を対象にしたアンケートが名物企画になっています。で、そのアンケートで「次の共和党の大統領候補は誰がいい?」と聞いたところ、ケンタッキー州選出のランド・ポール(Rand Paul)上院議員がトップになった。(参照)

毎年恒例のこのアンケートでトップに選ばれた人には、大統領就任前のロナルド・レーガンやジョージ・ブッシュ(子)、昨年の大統領選挙で共和党候補となったミット・ロムニーなんかがいるわけで、これはランド・ポールについても調べておかねばならないなと。

ランド・ポールは、有名なロン・ポール前下院議員の息子です。この親父さんは2008年や2012年の大統領選での共和党候補に名乗りを上げたり、2大政党が浸透している米国で「リバタリアン党」として活動したりといった何かと騒がしい人。私はなんとなく「ドン・キホーテ」的なイメージを持っていたりしたのですが、2010年、2011年にはCPACのstraw pollでトップ候補に選ばれたりもしている。割とちゃんとした人気がある人みたいです。

で、私はこの「リバタリアン」っていう考え方についてよく知らないもので、ウィキペディアでもうちょっと調べておきますと、とにかく「小さな政府を目指す」っていうことを徹底させた考え方のようです。増税には反対、歳出削減には賛成、公的な健康保険の拡大を目指すオバマケアには反対って感じですかね。それだったら共和党と変わらないんじゃないかっていうことにもなりそうなもんですが、徹底的に小さな政府を志向するわけですから、米国が海外紛争に介入することにも反対するし、同性婚についても「自由にやれば?」ってな感じで容認姿勢をとっている。小さい政府好きの人にとっては、分かりやすい主張です。

ただ、ロン・ポール自身については、過去に「黒人の95%は犯罪者予備軍か、犯罪者だ」とか「ホモは日陰で暮らしていた方が幸せなんだ」なんていう趣旨の過激な文章を書いていたようです。本人は「ゴーストライターが書いたんだ。内容については知らなかった」なんて言い訳しているようですけどね。まぁ、77歳ですから、若い頃にはいろいろと書いちゃったりもしていたんでしょう。

で、ようやくランド・ポールの話なんですが、この方は50歳。ウィキペディアによると、大学では薬学を勉強して、卒業後も医療関係の仕事をしていたわけですが、その一方で1994年にケンタッキーで反課税運動を組織したりして政治活動も行ってきた人です。親父さんの選挙選に参加したりしながら、2010年のケンタッキー州の上院選挙に満を持して立候補して、当選。そして今では「共和党大統領候補」の呼び声も高いというわけです。自分の政治信条について「小さな政府がいいと思うけれど、完全なリバタリアンではない」としているようで、親父さんとは違って米軍が海外に介入することには賛成らしい。あと、ブレナンCIA長官の承認に関しては、13時間のフィリバスター演説をやったりもしている。

ランド・ポールのCPACでのスピーチを聞いてみると(参照)、こんなことを言っています。

・自由を拡大させるなら、政府は小さくならねばならない
・経済を成長させるには、政府は手を引かねばならない
・エジプトにくれてやる金なんてない。奴らは米国の旗を燃やして、「アメリカに死を」と叫ぶような奴らだ
・唯一の景気刺激策は、稼いだお金を稼いだ本人の手に留めておくことだ
・法人税は半分にする
・所得税は一律17%
・規制緩和で企業活動を活性化
・教育省(Department of Education)は廃止する
・銃を持つ権利は守るべき

なかなか過激なことを言っています。連邦政府は縮小して、細かいことは州政府にまかせればいいって感じなんでしょうか。


まぁ、要注目っていうことで。

2013年4月1日月曜日

同性婚に関する最高裁判決が出るらしい

米国の最高裁が6月にも同性婚に関する判決を出すらしいです。3月26、27日には最高裁がヒアリングをやったりして、なかなかの盛り上がりを見せているようです。(26日分)(27日分)

問題のひとつとなっているのは、カリフォルニア州のProposition 8が違憲であるかどうかという点。Proposition 8といえば、以前のブログでも書いたことがあるのですが、2008年11月にカリフォルニア州憲法に盛り込まれた同性婚を禁じる条項のことです。懐かしい。このブログでは"Provision 8"って書いているけど、多分これがProposition 8のことだと思います。なんで間違えてるんですかね。ということで、おさらい。


2012年2月7日、第9巡回区の控訴裁判所はProposition 8は違憲であるとの判決を下しています。(参照)

控訴裁判所の判決は、Proposition 8の効力は同性のカップルから結婚というステータスを取り上げるものであり、それ以上でもそれ以下でもないとしています。つまり、Proposition 8があるからといって、同性のカップルが子供(養子)を育てることができなくなるわけじゃないし、他のカップルの出産に影響を与えるわけでもない。信教の自由とか子供の教育とも関係がないということ。

なるほど。そう言われると、「同性婚を認めたら、おかしな社会になっちゃうじゃないか」というような主張は通用しないわけですね。だって、同性婚が認められようが認められまいが、同性のカップルが一緒に暮らして、子供を育てることが禁じられるわけじゃないですからね。

控訴裁判所の判決はさらに、結婚というステータスにはカップルの継続的な関係を法的に社会的に保証するという効果があることをふまえて、Proposition 8は同性のカップルから結婚というステータスを奪うことで、同性のカップルの尊厳を貶める効果しか持たないとしています。で、憲法はそんなことを認めていないので、違憲だというわけです。

All that Proposition 8 accomplished was to take away from same-sex couples the right to be granted marriage licenses and thus legally to use the designation of ‘marriage,’ which symbolizes state legitimization and societal recognition of their committed relationships. Proposition 8 serves no purpose, and has no effect, other than to lessen the status and human dignity of gays and lesbians in California, and to officially reclassify their relationships and families as inferior to those of opposite-sex couples. The Constitution simply does not allow for “laws of this sort.”


もちろんPropositon 8の支持者たちはこの判決に反発して、7月31日、連邦最高裁に上告します。(参照)

上告の理由のなかでProposition 8の支持者たちは、

・結婚は異性間でしか子供をつくれないという生物学的な前提に基づいた制度である。責任を持って子供を産み、育てることは社会や人類の繁栄につながる一方、無責任な出産や子育ては社会的なコストとなる。結婚制度の目的は、異性間の性的な関係を規制することで、子供たちが安定した環境で育つことができるようにすることだ。

・異性間の性交渉によって子供ができてしまうことはあっても、同性間の性交渉で子供ができてしまうことはない。

・同性婚を認める最近の流れができる前は、結婚が責任ある出産と子育てという社会の重要な利益に基づいた制度であるということは何の疑いもなく受け入れられてきた。これこそが最高裁が結婚を「我々の生存と存続にとって根本的な問題だ」と認識してきた理由だ。

Indeed, prior to the recent movement to redefine marriage to include same-sex relationships, it was commonly understood, without a hint of controversy, that the institution of marriage owed its very existence to society’s vital interest in responsible procreation and
childrearing. That is why, no doubt, this Court has repeatedly recognized marriage as “fundamental to our very existence and survival.”

・同性婚を認める判決は、伝統的な結婚の定義を認めたネブラスカ州の憲法改正を支持した2006年の第8巡回区の裁判所の判決と食い違う。この判決では、「出産を結婚と結びつけて考えれば、結婚によって得られる社会的な認知や利益を異性間のカップルに与え、同性間のカップルに与えないことが正当化される。異性間のカップルは子供ができてしまうことがあるが、同性間のカップルではそのようなことがないからだ」とされた。

Indeed, the decision below collides directly with the Eighth Circuit’s 2006 decision upholding Nebraska’s constitutional amendment affirming the traditional definition of marriage. The State’s interest in “ ‘steering procreation into marriage,’ ” the Eighth Circuit held, “justifies conferring the inducements of marital recognition and benefits on opposite-sex couples, who can otherwise produce children by accident, but not on samesex couples, who cannot.”

・1974年の判決では、「あるグループを追加することが正当な目的を達成することにつながり、他のグループを追加することでは同様の効果が得られない場合」、区別をつけることは正当化されるとしている。(中略) だから、第9巡回区の控訴裁判所が行ったような、伝統的な結婚の定義を修復することが結婚制度を傷つけないようにするために必要かどうかという問いかけは、正しい問いかけではない。問うべきなのは、異性間の結婚を認めることが、同性間の結婚を認めることでは達成できないような利益をもたらすかどうか、ということだ。

It follows, then, that a classification will be upheld when “the inclusion of one group promotes a legitimate governmental purpose, and the addition of other groups would not,” Johnson v. Robison, 415 U.S. 361, 383 (1974),(中略)Thus, the relevant inquiry is not, as the Ninth Circuit would in effect have it, whether restoring the traditional definition of marriage was necessary to avoid harm to that institution. Rather, the question is whether recognizing opposite-sex relationships as marriages furthers interests that would not be furthered, or would not be furthered to the same degree, by recognizing same-sex relationships as marriages.

・かつてカリフォルニア州が異性婚と同性婚を区別したことが合理的であったのならば、現在においても同じような区別を付けることは合理的であるはずだ。また、他の41州で異性婚と同性婚を区別することが合理的であるとされるのならば、カリフォルニア州でも同様であるべきだ。

・Proposition 8に反対する人たちも認めるように、同性婚を認めることは社会的に大きなインパクトがある。学者のグループからは、同性婚を認めれば結婚と出産の結びつける考え方が弱くなり、男性が子供に対して持つ責任感を弱くするかもしれないという懸念も出ている。だからカリフォルニア州がこの難しい問題を慎重に取り扱おうとしていることは合理的だ。

・Proposition 8の目的はちゃんとした出産や子育てを守るための結婚制度を守ることにあり、第9巡回区の控訴裁判所が主張するような、同性のカップルを差別することにあるのではない。控訴裁判所の主張は、多くのカリフォルニア州民や他の41州の州民、federal Defense of Marriage Actを支持した議員や裁判官の名誉を傷つけるものだ。

The Ninth Circuit’s charge thus defames over seven million California voters and countless other Americans who believe that traditional marriage continues to serve society’s legitimate interests, including the citizens and lawmakers of at least 41 other States, the Members of Congress and President who supported enactment of the federal Defense of Marriage Act, the large majority of state and federal judges who have addressed the issue,


なんていう風に主張するわけです。


簡単にまとめると、

控訴裁判所は、

・同性婚を認めないことで得られる利益はない。Proposition 8の目的は同性のカップルを差別的に扱うことにあり、違憲。

と主張し、

Proposition 8の支持者は、

・異性間の結婚を認めることで、ちゃんとした出産や子育てを促すことができる。
・同性間の結婚を認めても、ちゃんとした出産や子育てが促されるわけではない。
・同性間の結婚を認めることは、社会的に大きな影響を与える。ちゃんとした出産や子育てに対する意識が弱まるかもしれない。
・同性間の結婚がもたらす影響は未知数であり、カリフォルニア州が慎重に行動することは合理的だ。
・Proposition 8は合憲

と主張している、という感じですかね。

最高裁はこのProposition 8の裁判と、同性のカップルにDefense of Marriage Actに対する裁判の両方をまとめて判決を出します。どんな判決を出すかについては、例によって中間派のケネディ判事の判断が注目されているようですが、ケネディ判事はヒアリングで同性のカップルに同情的な発言もしつつ、「未知の領域」に踏み込むことに慎重であるべきだとしたりもしているので、判決の行方はよく分かりません。さすが中間派。同性婚を全50州で認めるような判決はでないだろうとか、カリフォルニア州の知事や司法長官がProposition 8は違憲であると認めていることから、最高裁は「上告する必要がない」なんていう判断を下すのではという見方もあります。(参照、ロイター)(参照、WSJ)

ちなみにオバマ政権はProposition 8に反対する姿勢を明確にしています。(参照、NYT) 米国の最高裁では、裁判と関係のない人が意見を述べることができるルールがあるようで(参照、Wikipedia)、それに基づいて司法省がamicus curiae briefなる文書を最高裁に提出したということらしいです。

原文はこれ
エリック・ホルダー司法長官のコメントはこちら


画像は最高裁の前でアピールする同性婚支持者たち。