ちょっと古い話なんですが、3月に米国でConservative Political Action Conference 2013というイベントがありました。米国の保守系の人たちが集まって盛り上がろうっていうイベントで、その一貫としてstraw pollっていう参加者を対象にしたアンケートが名物企画になっています。で、そのアンケートで「次の共和党の大統領候補は誰がいい?」と聞いたところ、ケンタッキー州選出のランド・ポール(Rand Paul)上院議員がトップになった。(参照)
毎年恒例のこのアンケートでトップに選ばれた人には、大統領就任前のロナルド・レーガンやジョージ・ブッシュ(子)、昨年の大統領選挙で共和党候補となったミット・ロムニーなんかがいるわけで、これはランド・ポールについても調べておかねばならないなと。
ランド・ポールは、有名なロン・ポール前下院議員の息子です。この親父さんは2008年や2012年の大統領選での共和党候補に名乗りを上げたり、2大政党が浸透している米国で「リバタリアン党」として活動したりといった何かと騒がしい人。私はなんとなく「ドン・キホーテ」的なイメージを持っていたりしたのですが、2010年、2011年にはCPACのstraw pollでトップ候補に選ばれたりもしている。割とちゃんとした人気がある人みたいです。
で、私はこの「リバタリアン」っていう考え方についてよく知らないもので、ウィキペディアでもうちょっと調べておきますと、とにかく「小さな政府を目指す」っていうことを徹底させた考え方のようです。増税には反対、歳出削減には賛成、公的な健康保険の拡大を目指すオバマケアには反対って感じですかね。それだったら共和党と変わらないんじゃないかっていうことにもなりそうなもんですが、徹底的に小さな政府を志向するわけですから、米国が海外紛争に介入することにも反対するし、同性婚についても「自由にやれば?」ってな感じで容認姿勢をとっている。小さい政府好きの人にとっては、分かりやすい主張です。
ただ、ロン・ポール自身については、過去に「黒人の95%は犯罪者予備軍か、犯罪者だ」とか「ホモは日陰で暮らしていた方が幸せなんだ」なんていう趣旨の過激な文章を書いていたようです。本人は「ゴーストライターが書いたんだ。内容については知らなかった」なんて言い訳しているようですけどね。まぁ、77歳ですから、若い頃にはいろいろと書いちゃったりもしていたんでしょう。
で、ようやくランド・ポールの話なんですが、この方は50歳。ウィキペディアによると、大学では薬学を勉強して、卒業後も医療関係の仕事をしていたわけですが、その一方で1994年にケンタッキーで反課税運動を組織したりして政治活動も行ってきた人です。親父さんの選挙選に参加したりしながら、2010年のケンタッキー州の上院選挙に満を持して立候補して、当選。そして今では「共和党大統領候補」の呼び声も高いというわけです。自分の政治信条について「小さな政府がいいと思うけれど、完全なリバタリアンではない」としているようで、親父さんとは違って米軍が海外に介入することには賛成らしい。あと、ブレナンCIA長官の承認に関しては、13時間のフィリバスター演説をやったりもしている。
ランド・ポールのCPACでのスピーチを聞いてみると(参照)、こんなことを言っています。
・自由を拡大させるなら、政府は小さくならねばならない
・経済を成長させるには、政府は手を引かねばならない
・エジプトにくれてやる金なんてない。奴らは米国の旗を燃やして、「アメリカに死を」と叫ぶような奴らだ
・唯一の景気刺激策は、稼いだお金を稼いだ本人の手に留めておくことだ
・法人税は半分にする
・所得税は一律17%
・規制緩和で企業活動を活性化
・教育省(Department of Education)は廃止する
・銃を持つ権利は守るべき
なかなか過激なことを言っています。連邦政府は縮小して、細かいことは州政府にまかせればいいって感じなんでしょうか。
まぁ、要注目っていうことで。
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