また古い話なんですが、オバマ大統領が2014年度の予算案を提出しました。で、これが例の歳出強制削減(Sequestration)とどんな関係になっているのか分からないので、調べてみた。
オバマ大統領が予算案を提出したのは4月10日。オバマ大統領は同じ日に2014年度予算にも歳出強制削減が適用されますよという文書を出している。(参照)
このなかで歳出強制削減の内容については行政管理予算局(OMB)が同じ日に出したレポートに基づいて行われますということになっている。そのレポートがこちらです。
で、このレポートの中の Table 1. "OVERVIEW OF CHANGES TO DISCRETIONARY SPENDING LIMITS AND THE PRESIDENT'S PROPOSED LIMITS IN THE 2014 BUDGET"(Discretionary budget authority in billions of dollars)というのが、歳出強制削減と予算案の関係を示しているんだと思います。
一番上のOriginal limits set in Title I of the Budget Control Act of 2011というところ。2014年は1,066 bnとなっている。で、2コ下のRedefinition of limits pursuant to section 251A of BBEDCAのところに、その1,066 bn をDefense(556 bn)とNon-Defense(510 bn)に分けた数字が出ている。これはBudget Control Act of 2011の251Aに出ている数字と同じです。(参照) つまり、2014年度の予算では、裁量的経費(Discretionary Spending)の上限は1兆660億ドルで、このうち国防費が5560億ドル、非国防費が5100億ドルということです。
4つ目のAdjustments pursuant to section 901(d) of the ATRAの項目の、2014年のところにあるDefenseで-4.0、Non-Defenseで-4.0とあるのは、今年1月のAmerican Taxpayer Relief Actにある、
(3) for fiscal year 2014—
(A) for the security category, $552,000,000,000 in
budget authority; and
(B) for the nonsecurity category, $506,000,000,000 in
budget authority;
という記述を反映したものだと思います。つまり、さきほどのDefense(556 bn)から4を引いたら552になるし、Non-Defense(510 bn)から4を引いたら506になります。
その次、Joint Select Committee on Deficit Reduction Enforcementの項目。実はこれについてはよく分からない。分からないんだけれど、Defenseで53.9 bn、Non-Defenseで37.2 bnだけ、予算の上限がカットされて、その結果がさらに1コ下のRevised Limits Included in the OMB Preview Reportの数字になっているんだと思う。つまりBCAで定められた裁量的経費の上限は国防費5560億ドル、非国防費5100億ドルだったけど、いろいろと見なおしが重ねられた結果、現状では国防費で4981億ドル、非国防費で4688億ドルになっている。
で、この上限に基づいてオバマ大統領が予算案を提案することになるわけですが、次の項目はPresident's Proposed Changes to Discretionary Limits in the 2014 Budgetとなっている。つまり2014年度予算については、この裁量的経費の上限について見なおしを提案しますよと。で、その下にごちゃごちゃと数字が出ている。特にOCO/GWOT(Oversea Contingency Operations/Global War On Terror)の項目では、Defenseに88.5 bnの積み増しをやっている。その結果、President's proposed limits in the 2014 Budgetの裁量的経費の内訳は、国防費で6405億ドル、非国防費で5146億ドルになっている。
なんでしょう。こんなにいきなり見なおしを提案されちゃぁ、歳出強制削減の意味がないような気がするんですが。違うんでしょうか。
で、オバマ大統領の予算案に関するデータはこちらにあるんですが、このうちの一番下のファイル(Summary Tables)の中にあるTable S–5. Proposed Budget by Categoryというのを見てみると、一番最後の項目にMemorandum, budget authority for appropriated programsというのがあって、そこに出ている数字が先ほどのレポートにある国防費6405億ドル、非国防費5146億ドルという数字と一致しています。つまり裁量的経費に関する予算の枠はこれだけですよ、ということなんだと思う。
でも、同じ表の一番上の項目をみると、裁量的経費のうち国防費は6180億ドル、非国防費は6240億ドルとなっている。非国防費が枠を超えちゃっているような気がするんですけど。
私が重大な勘違いをしているんでしょうか、それとも「どっちにしたって民主党と共和党が合意すりゃいいわけだから、とりあえずは枠なんて無視しちゃえばいいんじゃないの。結局、BCAの枠を超えて国防費も非国防費も出すんだから、合意しやすい内容でしょ」ってことなんでしょうか。
変なの。
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