この前、ミャンマーのアウンサンスーチーさんが来日して、東京大学で講演していました。(動画)
スーチーさんは言わずと知れたミャンマー民主化運動の指導者で、1991年にはノーベル平和賞も受賞した人です。自宅軟禁されたり、開放されたりといったことを繰り返してきた人ですね。そうしたなかで、ミャンマーの軍事政権は2010年11月にスーチーさんを解放し、11年3月には民政移行もやってしまった。長年にわたるスーチーさんの戦いは実を結びつつあるわけです。
私はそんなニュースを聞く度に、「スーチーさん、これから何するんだろう」って思っていたわけです。「民主化しろ!」って言い続けてきた人ですから、実際に民主化が実現したら、やることなくなっちゃうんじゃないかって。それに日本なんかじゃ、ずっと野党だった政党が政権についたら期待されたほどの仕事をできないなんていうことがあるわけですけど、スーチーさんもそんな風になっちゃうんじゃないかと。
で、この講演をちょっと前に聴いた。うろ覚えのところもありますが、のっけから「自由には責任が伴う」なんていう硬派な発言しています。しまいにはケネディの有名な言葉を引用して、「国家が何を与えてくれるのかを問うのではなく、国家にどんな貢献ができるかを問うべきだ」なんていうことまで言う。こういったことは、何も日本の東京大学の学生を対象とした講演だから言っているわけじゃなくて、ミャンマーの若い人たちにも言っているんだそうです。へぇ。なんかイメージ違いますね。もっと、「軍政反対! なんでも反対! だめなものはだめー! 援助ちょーだーい!」みたいな人かと思っていました。失礼な話ですね。いや、まぁ、なんの根拠もなく思っていたんですけどね。
あと、聴衆から「軍との関係をどうするのか?」と問われて、「そう尋ねられるといつも戸惑うんですが、」とかなんとか切り出していたのが印象的。スーチーさんは民主化運動を始めた当初から、「国民が軍を愛していた時代に戻る」ということを目標としていたということで、何も「軍を追い出せ!」と言っているわけじゃないんだそうです。長年、軍事政権に拘束・軟禁されてきた人ですから、もっと軍自体を嫌悪しているのかと思っていましたが、理想とするのは、「軍と国民がともに国の安全のために行動できる」という状況なんだとのこと。だから軍との関係については、「良い関係を築きたい」ということになるんですね。まぁ、アウンサン将軍の娘ということですから、当然かも知れませんが。
そういえば、スーチーさんがミャンマー中部の銅鉱山開発を支持して、地元の住民から怒号を浴びるなんていうニュースもありました。(参照)
この記事の最後に出てくるスーチーさんの言葉は、
“I have never done anything just for popularity,” she said. “Sometimes politicians have to do things that people dislike.”
です。
かっこいー。
あと、ミャンマーの民主化っていってもまだまだなんですね。スーチーさん自身が講演で説明していますけど、ミャンマーの憲法は議席の4分の1を軍人に割り当てることが決まっているんですね。なんかよく分からん制度ですが。で、この憲法改正には4分の3以上の賛成が必要。ということで、軍の同意を得られなければ、議席の4分の1を軍に割り当てるという軍優位の規定を変えることができない。
しかもスーチーさん解放直前の軍政下で行われた2010年11月の総選挙は、スーチーさんの政党である国民民主連盟(NLD)のメンバーの多くが立候補を禁止されたため、NLDは選挙をボイコット。その結果、軍の支援を受ける連邦団結発展党(USDP)が上下院の選挙議席の8割近くを占める大勝を収めました。(参照) NLDはスーチーさんも立候補した2011年4月の補選で大勝して、上下院あわせて44議席を獲得していますけど、軍人割り当て分も考慮した全議席に占める割合は10%程度です。(参照) それでも「最大野党」って呼ばれるわけですから、民主化への道のりはまだ始まったばかりという感じでしょう。
どうなるんですかね。ミャンマーとスーチーさん。
画像はどっかで拾ったスーチーさん。綺麗な人ですね。
かっこいー!ランド・ポールより全然かっこいー!!
返信削除確かにな。ランド・ポールより全然かっこいいな。どっちの人気が長持ちするんでしょうかね。
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