2011年12月16日金曜日

COP17な人々


で、肝心の会議の方なんですが、いろんなキャラクターがいて楽しいです。

まずはEUのヘデゴー欧州委員ですね。前々回もちょっと書きましたが、デンマークのエネルギー担当大臣として再生可能エネルギーの普及を進めた実績がある。デンマークは総発電量に占める風力発電の割合が20%、バイオマス発電の割合が10%という国です。「再生可能エネルギーが実用可能なことは証明済みじゃん」ってことなんでしょう。すべての国に対して温室効果ガス排出量削減を法的に義務づけるべきだというスタンスがはっきりしている。新聞記者とかテレビキャスターもやっていたそうで、プレゼン上手なんだと思います。

これに対抗するのが米国のスターン気候変動問題担当特使。排出量削減の義務化なんてもってのほかで、なんだかんだと理屈をつけては義務化に反対する。だからと言って、EUに真正面から反対するわけでもなく、「EUの言うように議論を進めることには賛成するよ。ただ、その結果が削減義務につながるかどうかは分からないけどね」みたいなね。発言中でも決して熱くならず、さらさらっとぼそぼそっとしゃべって、すーっと帰ってしまう。全体会合でのスピーチの直前、会場にいたNGOの女性が突然、「米国は地球温暖化問題にもっと積極的に取り組むべきだ」と批判する声を上げたのですが、スターンさんはスピーチの冒頭で「熱狂的な聴衆においでいただいてありがとうございます」なんてかわしてました。まぁ、NGOからすれば「嫌なアメリカ人」でしょう。

で、EUの言う削減義務は先進国にのみ適用されるべきであって、新興国は別だというのが中国の解振華・中国国家発展改革委員会副主任。この人は中国語で話すので、いかにも異次元の世界の人っぽい。見た目も恰幅がよくて、「尊大な中国人」のイメージです。ちょっと説得できそうにない雰囲気をかもしだしています。

この中国と共同歩調を取るのがインド。ナタラジャン環境相という強烈なおばさんが代表者で、ものすごく熱く激しくまくしたてます。インドはまだまだ貧しい国で経済成長をする権利があるのだと。終盤の非公式な全体会合では、議長のマシャバネ南アフリカ外相に対して「マダム、どうして私たちの主張をオプションとして加えることが間違っているといえるのですか」と何度も何度もすごい迫力で呼びかけてました。この人も説得できそうにないです。

この他、ベネズエラのサエルノ特使。きれいな方だと思いますが、先進国に対する削減義務を強烈に訴えるエキセントリックなイメージの人です。あまりに発言が多くて、うざいところがあります。で、発言を求めて手を上げても議長に指名されなかったりする(と自分で思っている)のですが、そうなるとイスの上に立ち上がってベネズエラの国名プレートをかかげ、「あなた私を無視したわね」と突っかかる。これとは対照的な穏健派がグレナダのフッド外相。インドのナタラジャン環境相の熱いスピーチの後、「私はインドのようには感情的にはならない。冷静に、少しでも前進するように話し合うべきだ」と始めておきながら、ときおり感極まったような表情を見せたりするスピーチ上手です。あと、ぼっちゃん顔のフィリピンとか、「何がなんだか分からんぞ」とボヤくロシアとかも見逃せない存在です。

異彩を放っていたのが、ギリシャのパパコンスタンチノウ環境相。全体会合のスピーチの冒頭で、「私はパパコンスタンチノウです。パパンドレウ(前首相)ではありません」とジョークをかまし、気候変動問題をギリシャの債務危機になぞらえて「一刻も早い対応が必要だ」と訴えてた。説得力はあるんだけど、お前が言うな的な印象はぬぐえません。

こういう人たちと比べると、日本の細野豪志環境相の存在感はゼロです。本人による記者会見は一度も開いていません。まぁ、こんなに目立つ必要はないわけですが。


写真は雄々しくイスの上に起立されているベネズエラのサエルノ特使。

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