No.79
電動ひげ剃りを使いこなせない。
買ったときの広告では、どんなひげでも一発できれいに剃れるという触れ込みだった。それなのに、私のあごの周りは剃り残しばかりだ。例えひげを剃った直後でも、あごをなでまわせばすぐにひげが見つかる。左手の中指と親指でつまんでピッと引っ張れば、面白いようにひげが抜ける。私が買った電動ひげ剃りは、使用者にひげ抜きの楽しみを提供するために開発されたのではと思えるほどだ。
そんなことを考えている間にも、家電メーカーは次々と新製品を開発する。電動ひげ剃りのCMでは、まるでこれまでの製品が全く役立たずであったかのように位置づけ、新製品に備えられた新機能の素晴らしさをアピールするのが常だ。そういうCMを見ると、「新しいひげ剃りなら、剃り残しがなくなるかもしれない」などという期待を抱きそうになるが、おそらく、そうした期待は甘いと言わざるをえないだろう。新製品を買っても、その半年後には「今までになかった剃り味」の新製品が発売されていることは間違いないからだ。
また、「自分が買った当時のCMに騙されたのでは」と考えるのも不毛だ。そんなことを言ったって、自分の持っている電動ひげ剃りを新製品に交換してもらえるわけではないからだ。そんな要望に応えるぐらいなら、家電メーカーは電動ひげ剃りの新製品を永遠に出すことはないと断言できる。
「自分は誰にも騙されていない」と自信を持ったうえで、今持っているひげ剃りを使いこなせない自分を責めることにしたい。
2005/10/24
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