2013年1月5日土曜日

fiscal cliff は決着+先送り

年末年始も米国議会の方々は一生懸命仕事をなさって、fiscal cliff(財政の崖)は一旦は回避されたということみたいです。ただ、歳出の一律削減については2カ月先送りということですし、債務上限の引き上げ問題もありますから、まだまだ議論せねばならないことは山積しているんだと思います。

で、1月1日、American Taxpayer Relief Act of 2012が上院、下院を通過して、2日のオバマ大統領の署名を経て成立しました。リンク先のサマリーによると、

Makes permanent the tax reduction provisions of the Economic Growth and Tax Relief Reconciliation Act of 2001 for individual taxpayers whose taxable income does not exceed $400,000 ($450,000 for married couples filing a joint return)

ということですから、個人で40万ドル未満、夫婦で45万ドル未満に対する減税は恒久化されるということですね。オバマ大統領は選挙戦中、Cut the deficit by $1.5 trillion over the next decade through tax reform, including the expiration of tax cuts for single taxpayers making over $200,000 and married couples making over $250,000.(参照)としてきましたから、個人、夫婦ともに20万ドルずつは譲歩したというかたちになります。

あと、相続税の最高税率は従来の35%から40%に引き上げ。相続税率は何もしなければ55%まで上がるはずだったので、民主、共和の双方が妥協したという感じですか。40万ドル以上の所得層に対するキャピタルゲイン税率は従来の15%から20%に引き上げ。

また、失業保険については、

Extends unemployment provisions, including: (1) emergency unemployment compensation payments for eligible individuals through January 1, 2014, and (2) requirements that federal payments to states cover 100% of such payments until December 31, 2013.

ということです。emergency unemployment compensation(EUC)っていうのは、通常の失業保険を26週間受け取った後でも仕事が見つからない場合に受けられる失業保険のことで、これをあと1年間延長する。(参照) で、そのための資金は連邦政府が面倒をみるということですね。

一方、歳出の一律削減については、

Amends the Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985 to reduce the required amount of deficit reduction calculated for FY2013 by $24 billion.

Postpones to March 1, 2013, the allocation by the Office of Management and Budget (OMB) and order by the President of total reductions to budget functions (half from the defense function). Implements the FY2013 sequester on March 27, 2013.

Reduces FY2013 discretionary spending limits to those applicable for FY2012. Reduces FY2014 limits from $1.066 trillion to $1.058 trillion.

つまり、

FY2013で削減するはずだった$24 billionについてはキャンセル。
一律削減の実施は3月27日まで延期。
FY2013の裁量的支出の上限はFY2012の水準まで引き下げ、FY2014については$1.058 trillionまで引き下げ。

ということですね。まぁ要は先送りです。

この法律については、ホワイトハウスによるサマリーもあります。

Social Securityの給付額決定にchained-CPIを使うかどうかという問題も先送りみたいですね。ティーパーティなんていう人たちがいる米国でさえ、歳出削減っていうのは政治的に難しいんでしょう。もちろん日本も社会保障制度の圧縮の議論は進んでいない。消費税増税の道筋は一応ついたのかもしれませんが。

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