2013年2月18日月曜日

米国の対北朝鮮経済制裁

じゃぁ、米国による北朝鮮への経済制裁ってどんなものなのか。対イランの場合、米国が2012年2月にやった経済制裁がイラン経済にダメージを与えているなんていう話もあった(参照)ので、ちょっと調べておいた。

米国の北朝鮮に対する経済制裁っていうのは歴史が長い。国務省のサイトには、

The United States imposed a near total economic embargo on North Korea in 1950 when North Korea attacked the South. Over the following years, some U.S. sanctions were eased, but others were imposed. U.S. economic interaction with North Korea remains minimal.

なんて書いてあって、随分とざっくりとした説明しかしていない。

ただ、財務省のサイトのこのページにあるSanctions BrochuresというPDFファイルをみると、

2008年6月26日のExecutive Order 13466(参照)
2010年8月30日のExecutive Order 13551(参照)
2011年4月18日のExecutive Order 13570(参照)

なんかが大切なんじゃないかという気がするので、このあたりのことについて調べることにする。


まず、最初のE.O.13466(2008)ですけど、国連安保理の1度目の経済制裁決議の約2年後に当時のブッシュ大統領が出したものです。内容は、

・2000年6月16日に凍結され、この大統領令直前まで凍結されていた、北朝鮮および北朝鮮人が保有する全ての資産と利息を凍結する。

・米国の個人や団体は北朝鮮籍の船を保有してはならない。

ぐらいのもんです。資産の凍結は2000年6月16日からやってたみたいですね。


で、次のE.O.13551(2010)ですが、これは国連安保理の2度目の経済制裁決議の約1年後、オバマ大統領が出したものです。2度にわたる核実験や2010年3月の韓国哨戒艦沈没事件、国連安保理による2度の経済制裁決議を踏まえ、先のE.O.13466(2008)を強化するものです。内容は、

・Annexで示された個人や団体、北朝鮮との武器取引に関する助言や金融取引を行っているとみなされる個人や団体、北朝鮮によるマネーロンダリングや通貨偽造、現金密輸、麻薬取引などに関わっているとみなされる個人や団体の資産や利息を凍結

というものです。


さらに次のE.O.13570(2011)は、前回のE.O.13551(2010)の約8カ月後にオバマ大統領が出したもので、

・あらゆる物品、サービス、技術を北朝鮮から米国に輸入することを禁止

するものです。

で、どんな個人や団体が資産凍結などの対象になっているかは、Specially Designated Nationals and Blocked Persons List(SDN List)に出ているそうです。(参照) sanction program別のリストで"DPRK"を検索してみると、46件ほどヒットします。


こうした対北朝鮮経済制裁を対イラン経済制裁と比べてみたいんですが、

対イラン経済制裁の強化を決めたE.O.13599では、資産凍結の対象は、

・the Government of Iran

・any Iranian financial institution, including the Central Bank of Iran

・any person determined by the Secretary of the Treasury, in consultation with the Secretary of State, to be owned or controlled by, or to have acted or purported to act for or on behalf of, directly or indirectly, any person whose property and interests in property are blocked pursuant to this order.

こんな感じ。あらゆる金融機関とかイラン中央銀行とかが明記されているところが対北朝鮮経済制裁と違うような気もしますが、そのあたりはSDNリストでカバーされているみたいな気もするので、あまり差がないような気もする。超自信なさ気な表現になっていますが。2012年2月の対イラン経済制裁が話題になったのは、日本のエネルギー企業や銀行がイランと取引関係があったからで、別に経済制裁の度合いが(対北朝鮮に比べて)すごく強くなったからというわけではないのではないか。


そういえば、ファリード・ザカリアがCNNの「GPS」で、「イランやキューバをみれば経済制裁は効かないことが分かる。またミャンマーは(ASEAN加盟国として)アジア経済とのつながりをもつなかで、民主化への道を踏み出した。だから北朝鮮に対しても経済的なつながりを強める方向をとるべきだ」とかいって、シラキュース大学と北朝鮮の大学との間で続けられているdigital information library開発について触れていました。(CNNの以前の報道) そんなことやってたのか。

なるほど。

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