イランの核開発をめぐって、イランと安保理常任理事国+ドイツ(P-5+1)というメンバーによる協議がカザフスタンで行われていました。NYTに記事が出ていました。(参照) ちなみにホワイトハウスでの会見でも、取り上げられています。(参照)
この記事によると、
・イランへの経済制裁を一部だけ緩めることと引き替えに、イランの濃縮ウランを凍結(constrain)するという案について協議されている。
・3月18、19日に技術専門家による会合をイスタンブールで開く。
・4月5、6日に政治レベルでの会合をアルマティで開く。
・P-5+1は、イランがFordoのウラン濃縮施設を閉鎖するという提案を取り下げた。
・P-5+1は、イランがウラン濃縮を中止し、再開することが難しくなるような措置(低濃縮ウランを遠心分離器に運び入れる装置の一部を解体するとか)をとることを提案した。
・P-5+1とイランは、イランが20%濃縮ウランを医療目的のために保有することで合意した。
イラン交渉団のトップであるジャリリ最高安全保障委員会事務局長は会見で今回の協議について「現実的で、よりイランの主張に沿ったものだ」とし、「ターニングポイントになりえる」と話したらしい。いつもの攻撃的な口調は陰を潜めていたということです。
3月の技術専門家による会合は、イランに対して提案を再度説明するためのものです。P-5+1の側にはイランが4月の会合で、受け入れがたい反対提案をもって戻ってくるのではないかという警戒感もあるようです。また、イランに対する経済制裁の緩和には原油取引や金融取引は含まれないとのこと。
イラン経済は経済制裁によって大きなダメージを受けているわけで、イラン政府は国民に対して「きちんと交渉を有利に進めているぞ」とアピールする必要がある。P-5+1側がFordoのウラン濃縮施設の閉鎖提案を取り下げたことには、そうしたイラン政府の顔を立てるという意味あいもあるようです。そのうえで、イランがウラン濃縮を続けることを諦めて、今もっている分も医療用とするのであれば、経済制裁をちょっとだけ緩和してやってもいい、なんていう作戦なんでしょう。
厳しい経済制裁を課して、それの緩和と引き替えに相手から譲歩を引き出すという強硬戦略の重要なポイントなんだと思います。ここで上手くイランの譲歩を引き出せれば作戦成功。逆にイランの核開発に歯止めをかけられないようだったら、「経済制裁なんてやっても結局、イランは核保有国になったじゃないいか」なんていう北朝鮮みたいな話になっていく。
難しいですね。画像はイランのジャリリ事務局長。ケロロ軍曹みたいな名前ですが、アフマディネジャド大統領の100倍ぐらい男前な気がします。
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