イランに対する経済制裁の結果、イランですごいインフレが起こっているらしい。ということで、米国のイラン制裁について調べておいた。
米国のイラン制裁は何度も何度も行われているけれど、最近では今年2月5日のExecutive Order 13599が話題になった。EO13599はこちら。これに関するホワイトハウスの声明はこちら。財務省の声明はこちら。
で、これらの文書によると、この大統領令で、イラン政府、イラン中央銀行、イランの金融機関が米国内で保有している資産を凍結(blocked)。さらに、この凍結対象となっている組織(イラン政府、イラン中央銀行、イランの金融機関)と取引がある組織の資産も凍結された。財務省の声明では「これまではイランとの取引を”拒否”するように求められていただけだったけど、今回は”凍結”されることになる」と解説されています。
このあたりのニュースは当時の日本でも注目されて、イランからの原油輸入取引に関わっている日本の銀行の資産も凍結されちゃうんじゃないかと心配されたりもした。でも結局、日本と米国が協議をした結果、「日本はこのところずーっと、イランからの原油輸入を減らしてきているので、日本の金融機関が資産凍結の対象になったりはしないよ」ということで落ち着いた。よかった、よかった。
でも、良くないのはイランの方。この制裁によってイランの通貨、リアルには売り圧力がかかる。イランと海外の貿易が減るのだから、取引通貨としてのリアルは必要とされなくなるという見方が強まりますから(多分)。このリアル安の結果、イラン国内の輸入品の価格が上がることになって、イラン国民は困る。本来であれば、イラン政府が為替市場で外貨売りリアル買いの介入を行って、リアルの価値を維持したいところなんだけれど、制裁の影響はイラン政府にも及んでいるわけで、イラン政府には介入するだけの外貨準備がない。つまり原油をバンバン売って、外貨を獲得して、それを為替市場で売るということができないわけです。その結果、リアルは暴落モードに入って、国内の物価はハイパーインフレーション状態に突入している可能性もある。(参照)
暴落モードのきっかけは、イラン政府が食料や医薬品などの生活必需品を輸入する企業への支援策として、輸入用の外貨を割り当てる制度を作ったところ、「いよいよ外貨準備が尽きているんじゃないか」というパニックを呼び込んでしまったというものという説もある。(参照)
なるほどなぁ、経済制裁っていうのはこんな風な影響が出るものなんだなぁと。となると、なんですかね。イランでも暴動が起こったりするんでしょうか。イランが核開発疑惑を払拭できれば事は収まるのかもしれませんが、どうなんですかねぇ。
ただ、ちょっと面白い話もある。イランは紙幣の印刷を海外企業に頼っていて、その企業がイランへの紙幣供給を止めているので、インフレは加速しないかもしれないという話です。ほんまかいなという理屈ですが、ジョンズ・ホプキンス大学の偉い先生のコメントがニューヨークタイムズに載っています。(参照)
ハイパーインフレってどうやったら止まるんでしょうね。ジンバブエのケースでは米ドルそのものを決済通貨として使うようになった結果、ハイパーインフレが止まったってことらしいですけど、制裁を受けているイランでそのような政策が取れるはずもないです。
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