2012年10月1日月曜日

米大統領選

アメリカの大統領選が11月6日にあります。RealClearPoliticsによるまとめでは、今のところ現職のオバマ大統領が共和党のロムニー候補を4.1ポイントリードしているそうです。ロムニーさんは金持ちすぎて嫌われているようで、なんとなく「オバマで決まりなんじゃないの」っていう雰囲気もあります。そんななか今さらなんですが、米大統領選のあれこれについて調べてみました。

まず「大統領選なんて現職が勝つに決まってんじゃないの?」と思ったもので、ちょっと調べてみたところ、第二次世界大戦後の米国の大統領選挙はこれまで16回ありまして、このうち現職が出馬したのは10回。で、現職がそのまま勝って2選を果たしたのが7回。つまり現職の勝率は7割ということで、基本的には現職は勝って当然ぐらいのイメージでいいんだと思います。

では今回の大統領選はオバマさんが勝って当然の情勢かというと、なかなかそうともいえない。再選を果たした7人の現職のうち5人は9月時点の世論調査で対立候補に10ポイント以上の差をつけている。つまり現職はぶっちぎりで勝つのが当たり前なんだけれど、9月時点で4.1ポイントしか差をつけられていないオバマさんは現職のわりには苦戦している。

しかも現職が負けた3つの選挙戦は、いずれも大統領選段階(11月)の失業率が7%を超えているという共通点がある。つまり「失業率を7%未満にできない現職大統領」は再選できないというわけです。現在の米国の失業率は8%超という状態ですから、オバマさんが悪いジンクスを踏襲してしまう可能性もある。

では、失業率を7%未満にできない現職大統領を相手にして、ロムニーさんは健闘しているのかというと、実はそんな感じでもない。11月の失業率が7%超で現職が破れた3回の選挙では、対立候補は9月時点の世論調査で悪くともポイント差なしにまで現職に迫っている。ロムニーさんは失業率を7%未満にできない現職大統領に対して、9月時点で4.1ポイントのリードを許しているわけで、大して強い候補ではないということだと思います。

ちなみに現職大統領を破った3人の候補というのは、1976年にフォード大統領を破ったカーターさん、1980年にカーター大統領を破ったレーガンさん、1992年に父ブッシュ大統領をやぶったクリントンさんです。1976年のフォード大統領は、74年のウォーターゲート事件で辞任したニクソン大統領の後任として副大統領から昇格した人ですから、人気がなかったのは当然。このフォード大統領が敗れた選挙を例外とするならば、現職大統領を破ったのはレーガンさんとクリントンさんだけということになります。では、ロムニーさんがレーガンさんやクリントンさんに匹敵するほどの対立候補といえるかどうかというと、これはもう甚だ疑問だというしかありません。

つまり今回の大統領選は「失業率を7%未満にできない大統領」対「大したことない対立候補」という図式。まぁ、なんか盛り上がりに欠けるのもうなずけますけど、弱弱対決で接戦になるんじゃないですかね。


あと、大統領選と失業率について調べて気づいたんですが、大統領選からの4年間で失業率を下げた大統領というのは、トルーマン(2期目)、ケネディ+ジョンソン(1期目)、ジョンソン(2期目)、カーター、レーガン(1期目)、レーガン(2期目)、クリントン(1期目)、クリントン(2期目)となりまして、レーガンの2回以外はすべて民主党です。

逆に任期中に失業率を上げた大統領というのは、アイゼンハワー(1期目)、アイゼンハワー(2期目)、ニクソン(1期目)、ニクソン(2期目)+フォード、父ブッシュ、子ブッシュ(1期目)、子ブッシュ(2期目)で、例外なくすべて共和党。ただしオバマ大統領は民主党として初めてこのリストに名前を連ねることになるかもしれません。前回大統領選時(2008年11月)の失業率は6.8%でしたから、ちょっとハードルは高い。

2 件のコメント:

  1. 納得の分析です。失業率が7%台に下がったので、オバマ大統領が勝つかも(笑)

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  2. あの7%台っていうのも、オバマ政権が操作したんじゃないかっていう話が持ち上がっていますよね。そういえば、前回の大統領選があった08年11月の失業率が6.8%っていうのも、リーマンショック後にしては低すぎるわけで、「ブッシュ政権が操作したんじゃないか」っていう話があったような、なかったような。

    まぁ、そんな操作なんてできるもんじゃないという気がしますけど。

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