1993年07月13日(5日目) 晴れのち曇って、ちょっと雨も降る
なんにも起こらないね。朝11時頃に目を覚まし、Сковоропино駅に降りる。別に何も売っていないし、することもなくて、外の空気を吸っただけで帰る。次の駅で降りたときはギョウザの変形版みたいなのにネギをまぶした様な、おそらくはマンタというやつであろうものを売っていたが、How much? がわからず断念する。帰ってから調べたが、また忘れた。再び調べ直さなければ。
列車に戻ると少しばかり経ゼミを読んでお昼寝である。この頃まで他の人間とはほとんど口をきかない。Sなんぞは1時頃まで寝ていた。ウラジオで買った時計が遅れていて、まだ10時ぐらいだと思っていたらしい。実にのんびりした生活である。
駅に止まって目を覚まし、ちょっと外の空気を吸って戻ってくると、流石にみんな元気が出てきたらしい。会話も交わされる。下ネタ、スカトロネタに続き、ノスタルジーネタも加わる。あまりにも暇なもんだから、虹が見えると盛り上がる。こうしてしげしげと虹を眺めるのも久しぶり。ロシアの虹は色濃くでっかく、力強い。虹を見ながら"Still love her"なんぞを口ずさむと思わずセンチメンタルな気分になってしまい腹が立つ。ロシアに来ても考えることはたいして変わらない。
暇ついでに白い馬がいただけで野良馬だと盛り上がる。川が見えると川だといって盛り上がる。日本にいると考えもしないだろうが、どれもこれも綺麗である。その綺麗な風景がごく当たり前に続いている。日本にいても綺麗な風景はごく当たり前に存在するのである。人工的に作られたビルだって高速道路だって、きっと綺麗だろう。でもそんな綺麗なものがごく当たり前に存在することに気づかせてくれるのは、日常と時間と義務から我々を解放してくれるこの鉄道の効用であろう。きっと日本も捨てたもんじゃない。
食堂車でチキンとサラダとボルシチを食べて満足である。経ゼミも肝心なところでもうひとつ納得ができない。まぁ、読むことに意義がある。意外と当たり前のことを見落としているのかもしれない。理解しようという義務感からはなれて、シベリア鉄道的にのんびり読もう。
★冒頭の駅名はキリル文字で書かれているのですが、アルファベットではSkovorodinoと表記するようです。
★ご存知かもしれませんが、"Still love her"というのは、あのTM Networkの名曲です。(参照)
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