ヨルダン川西岸地区について調べるために、イスラエル建国から遡ってみた。
イスラエルの建国前はイギリスの二枚舌外交とか三枚舌外交とかそういうのがあったのだと思う。でも、なんだかんだいって、1947年に国連決議181が採択される。これはイギリスが統治していたパレスチナのうち、56%をユダヤ人の土地、42%をパレスチナ人の土地と定め、エルサレムは国連の統治下に置くという内容です。
で、これをユダヤ人は歓迎して、1948年5月、国連決議181に基づいてイスラエルの建国が宣言されます。
ACCORDINGLY WE, MEMBERS OF THE PEOPLE'S COUNCIL, REPRESENTATIVES OF THE JEWISH COMMUNITY OF ERETZ-ISRAEL AND OF THE ZIONIST MOVEMENT, ARE HERE ASSEMBLED ON THE DAY OF THE TERMINATION OF THE BRITISH MANDATE OVER ERETZ-ISRAEL AND, BY VIRTUE OF OUR NATURAL AND HISTORIC RIGHT AND ON THE STRENGTH OF THE RESOLUTION OF THE UNITED NATIONS GENERAL ASSEMBLY, HEREBY DECLARE THE ESTABLISHMENT OF A JEWISH STATE IN ERETZ-ISRAEL, TO BE KNOWN AS THE STATE OF ISRAEL.(参照)
ところが、これを他のアラブ諸国は認めなかった。まさに独立を宣言したその日に、レバノン、シリア、トランスヨルダン、イラク、エジプトの5カ国がイスラエルに対して宣戦を布告します。ところが生まれたばかりのイスラエルは、この5カ国をやっつけてしまう。恐ろしい子です。その結果、イスラエルはパレスチナの80%を領有することになった。あと、ヨルダン川西岸地区(東エルサレムを含む)はトランスヨルダンのもの、ガザ地区はイスラエルのもの。このとき引かれたグリーンラインが、今でも地図とかで見かけるイスラエルとパレスチナ自治区の境界線になります。
アラブ側は1964年にパレスチナ解放機構(PLO)を設立。イスラエルへのゲリラ闘争を始めます。これに対してイスラエルは1967年6月、エジプト、ヨルダン、シリア、イラクに攻撃を加えて、たったの6日間でヨルダン川西岸、ガザ、シナイ半島、ゴラン高原を占領してしまう。強い軍隊っていうものはあるもんです。
ところがこれには当然、国際社会が大反発しまして、1967年11月に国連安保理決議242が採択される。イスラエルに対して、直近の紛争で占領した地域から撤退せよという内容です。しかし、このうちシナイ半島は1978年にエジプトに返還されましたものの、その他のヨルダン川西岸、ガザ、ゴラン高原ではイスラエルによる占領が続いた。ここから先は、2つ前のエントリ「ガザとハマスとイスラエル」の内容で、1993年のオスロ合意でイスラエルはヨルダン川西岸とガザをパレスチナの領地として認めたけれど、ガザ地区の占領は2005年まで続いた。
で、暢気な私は「ヨルダン川西岸からはイスラエル軍は撤退していないの? オスロ合意ではパレスチナの土地だと認めたんでしょ?」なんて思ったわけですが、これはもう当然、撤退していないわけです。今年9月にパレスチナ自治区のアッバス大統領が国連で行った演説によると、ヨルダン川西岸を占領しているイスラエルは、ユダヤ人の入植をどんどん進め、移動の自由を制限し、自治政府による市民へのサービス提供を妨害し、農地の耕作や灌漑も邪魔しているらしい。ヨルダン川西岸の60%の地域は、イスラエルによる絶対的な支配にさらされている。
At the same time, the occupying Power continues to tighten the siege and impose severe restrictions on movement, preventing the Palestinian National Authority (PNA) from implementing vital infrastructure projects and providing services to its citizens, who are also being prevented from cultivating their land and deprived of water for irrigation. It is also obstructing the establishment of agricultural, industrial, tourism and housing projects by the private sector in vast areas of the Occupied Palestinian Authority, which are classified as areas subject to the absolute control of the occupation, which encompasses approximately 60% of the West Bank. The occupying Power continues to deliberately demolish what the PNA is building, projects funded by donor brethren and friends, and destroying PNA projects involving the building of roads, simple homes for its citizens and agricultural facilities. In fact, over the past 12 months, the Israeli occupying forces demolished 510 Palestinian structures in these areas and displaced 770 Palestinians from their homes. These illegal measures have caused great damage to our economy and impeded our development programs and private sector activity, compounding the socio-economic difficulties being endured by our people under occupation, a fact confirmed by international institutions.
なんか非道の限りを尽くしているという感じですね。「西岸地区は平和なんですかね」なんて言って申し訳なかった。すまん。
0 件のコメント:
コメントを投稿