CNNで「大統領選がタイになった場合、どうなるか分らんよね」みたいなことを言っていた。え? ロムニーが勝ちなんじゃないの? と思ったもんだから調べてみた。
大統領選でいずれの候補も過半数に達しなかった場合、大統領の選任は下院に委ねられます。下院は共和党が優位なので、ロムニーが選ばれる可能性が高い。また前々回のエントリーで紹介した合衆国憲法修正12条の規定によると、副大統領は上院が選ぶことになります。上院は現在、民主党がわずかに優位ですから、ここではバイデンが副大統領に選ばれる可能性が高い。すると大統領ロムニー、副大統領バイデンというねじれ状況が生じることになります。
根が素直な私は「だって憲法で定められているんだから仕方無いじゃん」と思ってしまうわけですが、ところが実際はそうでもない。有権者が大統領選で投票しているのは、あくまでも「選挙人」に対してです。でも、選挙人が実際に想定通りの候補者に投票するかどうかは分らない。例えば、州レベルでは共和党を支持したオハイオの選挙人の一部が民主党に投票しちゃうとか、そういったこともあるかもしれない。
CNNの7月26日の記事によると、過去の選挙においても10%ぐらいの選挙人は「投票結果と違う候補に投票しよっかなぁ」と考えたりするものらしく、選挙人は一部の勢力からロビー活動を受けたりもしている。実際にワシントンDCの選挙人が投票を棄権したり、ミネソタの選挙人が違う候補に投票することもあったとのことです。
後者の例については、こんな記事があります。2004年の選挙でミネソタ州は大統領にジョン・ケリー、副大統領にジョン・エドワードを選んだにも関わらず、10人の選挙人のうちの1人が大統領と副大統領の両方にジョン・エドワードを選んで投票した。結局、この「大統領にジョン・エドワード」の投票は無効とされて、この大統領選の投票人総数は238ではなくて237になった。
まぁ、ミネソタのケースはミスで起こった事態のようですが、ロビー活動の結果、選挙人の裏切りが起こる可能性があることには変わりありません。「投票人が同数になるかもしれない」というような状況では、1人の選挙人が棄権したり、投票が無効になったりすることが結果を左右することになります。大統領と副大統領がねじれてしまうという事態を回避するという大義名分のもと、熾烈な工作活動が繰り広げられるのかもしれません。
投票人による投票は12月17日。同数になった場合の下院による大統領選出は2013年1月7日の見通しだそうです。
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